天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

Five Days in Paris by Danielle Steel

 「パリの五日間」。パリで過ごした5日間が人生を変えた。
 製薬会社の娘と結婚して、長年新薬の開発をしてきたピーターは、癌の新薬の専門家のコメントを得るためにパリを訪れた。彼の滞在したホテル、リッツホテルでボディーガードに囲まれた女優で政治家の妻、オリヴィアと同じエレベータで出会った。彼の方で、週刊誌などに出ているその人だと気づいた程度だった。
 パリで専門家の検査の結果を待つことになった彼は、ホテルのプールで再度彼女と出会う。そして更に、ホテルの非常ベル騒ぎで客が皆外の公園に避難したときに、彼女がそっと連れの夫やその仲間、ガードマンなどから離れてゆくのを見かける。
 はじめに見かけたときから、彼女の表情が愁いにあふれているように見えた彼は、そっと後をつけて「珈琲でも如何?」と声をかける。その晩は、いっぱいの珈琲で一晩中話し合うほど二人は気持ちが通じるのを感じた。それがきっかけで二人はまた海辺で一晩を過ごすことになった。
 二人とも、自分の居場所に納得していなかった。
 他人同士である二人なのに、他人同士で気が合うからこそなのか、お互いに素直に自分の気持ちを語りあうことができた。それが二人にとってとても貴重な時間だった。しかし、やがてそれぞれの生活に戻らなければならない。
 一旦はそれぞれの家族との生活に戻ったが、それはもはや愛情の無くなった相手との利害のために利用されているような生活だった。ピーターは、パリで過ごした時間に、自分の素直な気持ちに気付くと、欺瞞だらけの生活を続けることが出来なくなっていた。オリビアも夫が大統領選挙の看板として利用されるだけで、愛情も何もなくなった生活から離れて本当に自分のしたいことをする道を選んだ。
 真に気の合う男女は、お互いに語りあい、愛し合うことで人間として成長するのだということが、どうもこの物語の主題のようだ。ある意味でものすごい恋愛賛歌だ。1995年の作品。