中国の先生
昨日書いた記事について、いろいろな意見を頂きました。それだけ、この先生の退職金減額問題は多くの人の関心を呼んだと言うことでしょう。ご意見を伺っての感想は、まとめてコメント欄に書かせて頂きました。
ところで、中国の先生事情はどうなっているのだろう。あまり多くの情報は無いが、自分の知人や経験したことから少し整理しておきたい。
先生の報酬と言う点では、中国の先生は日本に比べて少ない。日本のように退職金が2700万円という額はとても考えられない。論外だろう。中国の物価水準に読みかえても膨大だということ。早い話が、私が中国の大学で日本語を教える日本語教師の道に進もうとしたとき、その給与水準にまずたじろいだ。1カ月3,000元〜4,000元が相場で、これは地元の先生たちと同水準であるとのことだった。日本円にしたら一月5万円も無い程度。住居は大学の宿舎に住めるので、この金額で食費その他の日用品を賄うわけだ。中国に住んでいれば、食べられる。中国の食費は、切り詰めようとすればかなり低い額でも、毎日中華料理が食べられる。中華は当たり前だった。
日本人の年金生活者なら、何の不自由もない。その道もまだあきらめてはいない。しかし、中国の友人はその額を聞いてやめた方がいいとの意見だった。日本でもらう給料の方が多いうちは日本にいるほうが得、というのが理由だ。中国人らしい、お金を基準にした分かりやすい理屈だった。現地の人から見ても安い処遇ということは明らかだ。農村部を含めた平均は超えているかもしれないが、この場合平均値というのはあまり意味がない。
一方、以前日本に留学して日本の企業に就職していた人が、中国に帰って大学の先生をしている。二人ほどそういう人を知っているが、どちらも既婚で共働き。中国の女性は、基本は結婚しても働く。場合によっては大黒柱で、亭主がふらふらしていることもある。そのうちの一人が、できれば日系企業で仕事ができないかと、職を探していた。日系企業の現地社員の処遇でもその方が収入は相当多いらしい。
では、そういう先生たちのレベルはどうか?経歴、動機、環境などが違うので一概に言えないが、地方の小中学校で教師の道を選んだ人は、少ない給与で大変な仕事をしている。地方に行くと、学校の設備すら満足にない場所が今でもいくらもある。そういう中でも、会社にゆくよりも教師の道を選んだ人達だ。
中国で大学を出ても、今は就職難で、職探しの人達を「蟻族」と呼んでいる。都市部で仕事を見つけたい人は、あくまでもその希望にこだわって蟻族になっている。田舎の教師になろうという人は、それなりの志が無くてはできるものではない。そういう先生たちだ。
多少中国びいきの書き方ではあるが、中国の教師事情はこんな感じだろう。