天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

ペシャワール会報

 日本では煮え切らない状況が続いている。ペシャワール会報No.113というのが届いた。アフガニスタンでは、命を守る戦いが続いている。
 戦禍を逃れて、命の水の井戸を掘り、作物を育てて自給できる農地を復元するための用水路を掘る。そういう活動が継続されている。そういうことを伝える会報の表紙はいつも甲斐大策氏の絵だ。
 左側に二人、肉親をアメリカの空爆で失ったのか、しょんぼりした男が座っている。片方は真ん中で赤ン坊を抱く男を羨ましそうに見ている。赤子を抱いた男はお爺さんだろうか。すぐ横にその子を産んだだろう女性が静かに目を伏せている。夫は戦いに出ているのだろうか。その右では、久しぶりに会った男たちが、手を取り合って無事を確認しあっている。レストランと書かれた建物の前だ。
 レストランと言っても恐らく物資の少ない中、手に入る材料でパンを焼き、羊の肉を焼いて通りがかりの人々を相手に店を営んでいるのだろう。皆、命をつなぐのに一所懸命になっているのだ。
 こういう社会では、想像するに、日本のように得体のしれないものにウツウツとしてうつ病になるような人はいないのではないか。そんな贅沢な病にかかる暇がない。毎日を家族とともに生きることで精いっぱい。今日もみんなで食事ができれば幸せ。そういう世界なのだ。そういう中でも人間の矜持を忘れずに生きている。
 そんな世界で中村医師は活動しているのだなあと、つくづく思う。