天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

「真説宮本武蔵」という本

 司馬さんの短編6編が収録されている。タイトルの「真説宮本武蔵」のほか、「京の剣客」「千葉周作」「上総の剣客」「越後の剣客」「奇妙な剣客」と続く。
 司馬さんのことだから、史実をよく調べて物語に仕立てている。なので、ある程度というか出来ごと自体は事実が書かれている。そこで登場人物がどのように感じたかは、司馬さんの想像による創作となっている。
 いづれも剣に生きた侍の生きざまが描かれていて面白い。侍であるからには男であるが、男としての人間の生きざまが伝わってくる。侍社会は今のサラリーマン社会の原型のようでもある。主人につかえるとか、藩士であるとかいうのは会社勤めをしているのと同じ。その中での、ツールとしての剣だ。剣が戦いの道具であることを超えて、侍社会で生きてゆく便法のようでもある。
 このあたりが、司馬さんの小説が経済戦士であった戦後の日本人の生き方を煽ったと言われる所以かもしれない。しかし、史実に基づいた読み物としても十分に楽しめる。
 最後の「奇妙な剣客」という物語の主人公はバスク人であるところが面白い。バスク人が何者かということなど、この短い物語を読むまで大した知識も何も持ち合わせていなった。彼らは膠着語を話す、我々モンゴル系アジア人の仲間らしい。バスク地方といえばスペインの一部という感覚だが、これも調べるとなかなか面白そう。しかし忙しくてどうもそこまで手が回らない。