天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

搬家

 中国語で引っ越しのことを「搬家」と書いてバンジャーと発音する。先週息子の引っ越しを手伝ったのだが、特に大してすることは無かった。物の運搬は全て引っ越し業者が段取り良くやってくれる。プロだし、運ぶための手際はノウハウとして蓄積されている。学生時代に引っ越し業者の手伝いのアルバイトをやったことがあるので、実力のほどは少し見抜ける。昔よりもさらに顧客へのサービスは充実して来ていると感じた。
 それにつけても「搬家」と言えば、中国で友人の引越しを手伝った時のことがつい昨日のように思いだされる。あれは中国に出かけるようになって間もない、当時の私には衝撃的だった。中国の庶民にはまる、ひとつのきっかけだったと思う。休日に引っ越しを手伝ってくれという頼みに、二つ返事で出かけたのだが、全ては引っ越し業者の選定から始まった。
 街で配っているビラに200元くらいで引っ越し荷物の運搬をするというのがあり、友人はそれを使うつもりでいた。ところが、更に安いビラを配っているおばはんが出現。早速そこに連絡してみると、間もなくリヤカーを引いたおっさんが現れた。友人は単身でさしたる荷物が無いとはいえ、ベッドくらいはある。しかも行き先が同じ広州市内とはいえ、車がバンバン通る道をリヤカーでのろのろ行くのでは「日暮れて道遠し」という状況になるのは必至。
 友人はおっさんに、これではダメだというようなことを、話している。地元中国人同士の会話は、当時は全く分からない。しばらくすると、どこからともなく軽トラが現れた。たくましいお兄さんが運転している。結局、部屋から出した荷物をリヤカーで表通りに停めた軽トラまで運び、そのトラックで目的地まで運ぶ。という段取りだった。お金は、はじめに約束の額をリヤカーのおっさんに渡す。おっさんはそこから何がしかを軽トラ兄さんに渡したようだった。
 暑い広州の日中。荷物を運ぶのはほぼそのお兄さん一人でやる。運搬は金をもらった引っ越し屋がやるからいいというのだ。私は、リヤカーの横に立って、積み上げた荷物の見張り役を仰せつかった。そうか、こんな道具も見張りがいないと持って行くやつがいる、というのが中国なんだと感じたものだった。それくらい油断のならない連中ばかりなのかと思ったら、今度は運び終えて汗だくのお兄さんにチップをあげようとすると、おまえは約束の金を払ったのだから、もういらないと言って受け取らない。冷えたペットボトルの水だけを美味しそうにゴクゴク飲んで去って行った。
 コソドロは普通にいるようなのに、庶民でも生真面目な人たちもいるのだ。この国の人たちは一体どういう人たちなんだろう。というわけのわからない衝撃的な思いがしたものだった。以来、中国の仕事が終わって以降も、テレビで色々と見たり、本を読んだり、現地に出かけたりしている。
 で、今日は息子の引っ越し後初めての休日だったので、色々と必要な家財道具の買い物に付き合った。