天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

「水の彼方」田原著

 田原という作家がいることは、別の本(「石の記憶」まだ読んでない)で知っていた。その名前の作家の本が図書館の中国文学という棚に並んでいたので、借りて読んだ。
 田原という名前で、てっきり男性かと思っていたら80後(パーリンホウ)の女性だった。1985年生まれで、武漢出身。北京の語言文科大学の英文科を卒業しているが、16歳の頃からバンドのヴォーカルとしてデビュー。2004年には映画に出ているとのこと。

これがこの本の表紙だが、写っている顔は本人のものかもしれない。とても美しい人らしい。この日本語版は2009年の私の誕生日に発行されていた。知る人ぞ知る、中国の美的才能だった。
 で、この本は、本人のあとがきによれば自身の高校時代を書き残したものということだ。確かに武漢の学生時代から、北京の大学に進学してきての暮らしが幻想的な記述を交えて書きつづられている。なかなかの作品だ。
 武漢と言う町のことが彼女なりの印象で書かれている部分があって、興味深い。武漢へは二度訪ねたことがあるが、中国の歴史的にとっても色々重要な場面を経てきた場所だ。機会を作ってまたゆきたい。できれば、暑い夏に。
 もう少しこの本を評してみる。小説として面白い他に、80後達の世代が青春時代を過ごしたころの中国社会がどのようなものであったか、ということが感じとれるところもいい。ここに書かれている様子は、今も同じであろうが、10年後くらいの今は更に時代がすすんでる感じがする。それほど中国は年々変わってゆく。