天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

「母への手紙」という本

 いつ買ったのか定かではないが、確かに自分で買い置いた本を読んだ。「アウシュビッツの聖者コルベ神父」という副題が付いており、曽野綾子氏が序文を書いておられる。中にはコルベ神父が、母マリア・ドンブロフスカに送った62通の手紙がある。62通と言っても、コルベ神父がローマで学び始めてから、最後はアウシュビッツからの1通に至る29年間の手紙だ。
 この間、日本にも来て布教活動をしている。昭和5年から5,6年の間、長崎で活動をした。大浦天主堂とその付近ががその拠点らしい。
 これらの手紙は、母マリア・ドンブロフスカが大切に保管していたものだ。文通なので、母からも色々書いて送った手紙があったろうが、それは残っていないらしい。
 コルベ神父といえば、ポーランド人で、アウシュビッツの収容所で身代りになって死んだ聖職者として知られている。その人の、その死にいたるまでの生きざまが、この62通の手紙から伝わってくる。こんなにまじめな人がいたのか、というのが率直な感想。
 ひとつひとつの手紙は短い。62通を一気に読んでしまった。カトリック修道院のような場所の手紙のルールというのは、あまり長くてはいけないらしいようだが、彼はとても多忙であり、手紙を書くのに多くの時間を使うことすら出来なかった様子もうかがえる。
 ポーランドという国もなかなか困難な歴史を経てきた国だ。そこに暮らす人々は、歴史に翻弄されてきた。一度だけワルシャワまで仕事で行ったことがあったのを思い出す。その時はまだ東欧といわれた地域の一角で、路面電車の敷石の隙間から草がはえ放題。古い石造りの建物もくすんで見えた。
 今やどうなっているのか。約20年前だろうか。その時、チェコプラハにも行き、その後15年を経て同じ場所の変わりようを見る機会があったが、ポーランドの様子も見てみたい。
 ともあれ、どうも目先の利益を追いがちな現代人の生きざまと比べ、この人はどうだ。カトリックのお坊さんは皆がみなこうではあるまい。宗教家にも色々なタイプがあるものなのか。