天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

視察報告

 何の視察に行ったのかと言うと、市のリサイクル推進委員として、八王子市の清掃工場とプラスチック資源化センターの視察を行った。
 清掃工場のほうは、一昔前の言い方では「ごみ焼却場」であり、八王子市内でも同様の施設が3ヶ所くらいあった。都内にもあちらこちらに点在しており、その焼却熱を利用した温水プールだとか、発電をしている。
 しかしこの方面も次第に進化しているようだ。ただ、ごみを燃やしただけでは、人体に有害なダイオキシンの発生という問題もあり、これに対処すべく改善が求められ、進化せざるを得ないということもあろう。
 今回視察した戸吹にある清掃工場は、10年ほど前にリニューアルしており、ゴミを燃やすときの熱で発電をしたり、湯を利用した「湯ったり館」などの施設を作っている。

・これはゴミ焼却熱で発生させた水蒸気でタービンを回す発電機。500世帯分の電力が発生可能で、設備内の電力を賄い、余分は東京電力に売っているそうだ。
 また燃やした時に残る灰はセメントなどの材料とするほか、さらに溶融させてスラブとメタルという建材などに利用される物質に変えている。
 昔はこの施設のある場所はゴミの最終処分場、すなわちゴミ埋め立て場所として使われていたが、それも満杯となり、埋めるゴミを減らして再利用するための設備に進化してきているわけだ。埋め立て終わった場所は、運動公園として市民の利用に供すべく準備が進められている。なんでも、テニスコートスケートボードをやる場所だとか、公園として散策できるようにしてゆくらしい。
 次に、ここと隣接する場所にプラスチック資源センターという所に行った。この10月にオープンしたばかりだ。まだ建物設備も新しく。稼働して1カ月余りしか経っていない。
 八王子市では10月からゴミの分別方法を細分化して、市民に協力を求めていた。つまり、プラスチック類は今まで不燃物扱いであったものを再利用するよう分類してまとめるようになった。これを受けて処理する設備がここというわけだ。
 この設備は、別にここでプラスチックを溶かして別の製品をつくるわけではなく、そういう専門の工場に材料として納品できるようにまとめる作業をする所だった。つまり、しっかり分類をして圧縮した塊を作って出荷する。ここで、分類の仕方がまずいとか、容器の中に内容物が入ったまま圧縮したりすると、再生素材として不適格となり商品にならず返品されてしまうらしい。

・プラスチックゴミだけを搭載した収集車がヤードに入っている所。
 ここで意外だったのが、手作業部隊がいることだった。分類方法を市民にお願いし、ゴミ収集業者がプラスチック乃至ペットボトルばかりを集めてきた車がヤードに入り、機械の入口に直接それら収集したものを流し込む。袋にまとめてあるプラスチック類をばらすのは機械で行う。そのあとに、不純物が混入していないかは人手の作業による。
 これを一体誰がやるのだろうかと思ったら、ガラス窓越しに現場を見せてくれた。

・左の口からベルトコンベアーに乗ってバラされたプラスチック類が流れてくる。混ぜてはいけないものを見つけて拾い出す作業をしているところ。
 この人たちは、市の職員ではなく人材派遣会社から派遣されてくる人たちとのことだった。ふつう、何か新しい設備ができると、そこで働く労働力というのは地元の人を採用して地域に密着するというパターンが多い。しかし、この設備は扱うものがモノなので、人が集まるだろうかと思ったら、このような雇用形態だった。合理的といえるが、そこでやっているのが働き盛りの男性ばかりというのも意外だった。
 正式の市の職員は広い設備に5人だけとのことだった。機械類は当然コンピュータ制御されており、その監視ルームも一人だった。

・看視センター。焼却設備のある清掃工場の方が看視機器類が多かった。
 資源が再利用される流れを作るのはとてもいいことだ。そういう事業はまだまだ市などの行政機関でないと進まない。再利用資源として上がる売上があるわけで、その資源の元は家庭から出るゴミ。もとでがゼロのようであるが、収集し分類して素材にするまでの費用は大きなものになっている。これで商品化してもトータルで利益が出るところまでは行っていないようだ。
 
・圧縮されたプラスチックが、2メートル四方くらいの大きな包みになって機械から出てくる。これをトラックに乗せて新潟や埼玉などの受け入れ工場へ搬送する。
 しかし、どれだけ費用が持ち出しになっているのか、何にどれくらいの資金投入しているのかなどは不明確だ。そのような説明資料は出ていない。いづれそのようなことの説明責任をしっかりしてゆかないと、せっかくの事業も不信感を持たれてしまう。
 ともあれ、これは資源再利用活動の具体的な進歩だ。世の中は、良心をもって知恵を使えばまだまだ暮らしやすく、持続っする社会にしてゆくことができそうだ。