天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

「習近平の正体」

 次世代の中国の指導者と言われている習近平氏は、太子党とのこと。太子党というのは、第二世代の政治家グループ。つまり親もそれなりの権力者であったということだ。では習と言う人は、政治家第二世代のエリートかというと、どうもそうではない。日本の第二世代達とは少しちがうようだ。
 「習近平の正体」という本を読むと、そのあたりのところがよく分かる。茅沢勤というジャーナリストの著。
 正体という言葉が使ってあるので、習氏の何か人に知られていない悪い面を書いてあるのかと思ったらそうではない。淡々と彼の実像が書かれている。結構前から調べておられた様子だ。
 それによるとまず、その習近平氏の父親とはどんな人だったのか。生粋の共産党員で、幹部でありながら文革時代にやり玉に挙げられ、16年もの間、大変な苦労をする。周恩来氏を兄とあおいでいた関係で、なんとか生き延びることができた。復帰後の仕事は広東省経済特区の設置だった。訒小平の改革開放路線を推進する目的に合致した施策であった。シンセンなどの経済特区を作ったわけだ。父習仲勲と言う人だ。
 しかし、近平が育った頃は父仲勲の不遇な時代であり、紅衛兵によって反動政治家の息子として下放されていたのだった。初めは辛くて逃げかえることもあったが、しまいには下放先の農民たちから可愛がられ、期待もされるようになった。
 一方習近平氏のライバルである李克強という人は、地方役人の息子で努力して立身出世を絵に描いたような一種のエリートで、胡錦濤主席にかわいがられている。だが、地方政治の経験と実績では習近平氏のほうが確実に結果を出している。福建省はアモイとか、浙江省のトップだった頃には地元に大変な貢献をしている。一時上海のトップになったこともあり無難に過ごしている。ちなみに李克強氏は北京大学で、習氏は清華大学の出身だ。
 習近平氏があまり知られていなかったのは、彼が地方勤務が長かったことと、マスコミ嫌いの面があるようだ。だが、氏の奥さんは大変有名な美人映画俳優で、以前は習氏よりも有名だったらしい。この二人の馴れ初めなどもこの本に紹介されている。この本を読むと、中国の体制がとやかく言われているものの、現体制が続く限り、次の主席はこの人でいいのではないか、と思えてくる。地域の人々に良い政策を、中国らしい速度、やりかたでやってきた彼は、中国全体のトップになれば徐々にではあるが確実に中国人民にとっていい方向への施策を進めるような気がする。しかしてその実態は・・・。