天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

Matters of the Heart

 最近読んだダニエルの小説。題の意味は直訳すれば「心の問題」となるが、気持ちの問題とか「気は心」という日本語もあるが、そういうことだろう。
 ストーリーは、性格異常の作家(男)に家族を失った寂しい写真家(女)がすっかり罠にはまって、その罠からすんでのところで逃げ出すという話。いわば結婚詐欺にだまされるいきさつのような話。結婚詐欺の話も時々ニュースでお目にかかるが、次から次へと相手をだますらしい。目的はお金だ。
 そういうのがテーマだったので、それほど感心するような話ではなかったが、ストーリー展開はなかなかだ。次に何があるのだろう、そしてどうなるのだろうと思わせるもので、エンターテイメント小説としては傑作な部類と言っていい。そういうものを期待している読者は裏切られていない。
 さて、この「気の持ちよう」ということは、まことにそうだと最近つくづく思うことがある。
 仕事にのめりこむタイプの自分は、自分の思う通りにことが運ばないと大変なストレスを感じる。自分の思うことというものに絶対の自信を持っているせいで、本来そうあるべきと思っていることが、邪心のある人々によってそうなってゆかないときに大変な怒りを覚える。
 それが最近、その仕事自体がどうなんだと思うと、もっと自分の神経を使うべきことは他にあるのではないかとも思う。と、そのような目先のことに腹を立ててエネルギーを使うことがアホらしくなる。いやアホらしいと思うべきだ、と思うことができるようになる。加齢とともにそう思うようになったのだろうか。ものが見えるようになったと言ってもいいかもしれない。
 そして他の面では、この本のというかダニエルの主題でもある愛情の問題においても、同様のことが言える。心配しても仕方が無い。問題は自分が相手を愛しているかということであって、成り行きを心配しても仕方が無い、後は他の事情もあるし、相手の望まないことをしなければよしと思えば幾分心休まることになる。
 心休まるかどうかは気持ちの問題ということ。