天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

中国経済の正体

 講談社現代新書の1冊。BRICs経済研究所代表の門倉貴史著。若い研究者の冷静な分析による本、という感じがする。日々変化する現況にあっては中国評価もこういう新しい本を見ておくことが必要。そう思って手にした本だが、期待を裏切らなかった。
 特に事実に基づいた冷静さは、「人口ボーナス」と「人口オーナス」という論述に感じられる。一人っ子政策が中国の高齢化社会を早めることになるが、高齢化と経済の関係など、日本の戦後から高度経済成長、そしてバブル崩壊の人口状況とも比較しながら書かれている。
 チャイナリスクなどとう言葉も使われており、中国親派にとってはムッとする表現のようでもあるが、客観的事実は事実。そのような言葉も流通している以上仕方が無い。
 締めくくりは、米中日三国の関係について述べられている。ここでは、著者の見解が示されているが、それも冷静なコメント。この三国の三角形の関係を見るとき、中の部分を中国を含むアジア全体としてとらえるべきだ、というところに感心した。
 一方で、そうは言っても中国自身は中華思想があるので云々という。だが中華思想を自国中心主義と置き換えてみれば、そうでない国がどこにあるのか。この冷静沈着な分析も、現在の日本をとりまく経済や政治を日本を軸足に述べられている訳だ。
 そういう意味でいえば、この本のタイトルも中国経済を得体のしれないものと感じているので、正体を示そうという意図であろう。事実、成長率などの経済指標には裏があることも書かれている。そしてそれは事実なのであろうが、それは中国に限ったことではないということもある。
 色々と考察する人がいるものだ。