天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

中国現代文学2

 史鉄生著、「人形の空白」「反逆者」
 残雪著、「趨光運動」
を読んだ。両方の作家共に「中国現代文学」という冊子の創刊号にも作品が掲載されていた。前者の史氏は私と同じ年。中国では文革時代に下放を経験した世代だ。ここに書かれているのは、やはり彼の経験なくしてはあり得ない記述。中でも前の作品は、氏の大叔父にあたる人のことが書かれている。中国の文化にその住んでいる地域で大いに貢献し、地元の彼を知る人には尊敬もされている大叔父が、国民党に所属していたというだけで処刑されたという過去を語る。大叔父は潔いだけに逃げも隠れもしなかったことで、共産党に処刑された。
 後の方は、叔父の話で氏の母親に恋をしていながら数十年も経てから現れるという物語。
 残雪女史の作品は中国現代文学1でも読んだが、今度は彼女の幼少の頃の思い出だ。ここに訳されているのはまだ第1章までで、まだ続きがあるようだ。
 これらを読んで感じたのは、文化にかなり踏み込んでいるということと、やはり中国ならではの文学というか小説だな、と思った。
 前者の作家の作品の中だったろうか「中国人らしく・・・」という言葉の中に、中国人の生きざま、有りようを少しく邪揄したところがある。よくいえばしたたかさとでもいうのだろうか。そういうところは、中国人ならではの感じであり、中国人である著者がそのように気づいて表現している。ちょっと広く世界を見た中国の人たちは、皆感じるのかもしれない。
 そこへゆくと、あまりに潔癖すぎるきらいのあった日本人は見習ってもいいかもしれない。中国人が潔癖だと史鉄生氏の大叔父のように、何も悪いことをしていないのに命を失うはめになるので、したたかにならざるを得なかったのだろうか。
 家に帰ったら、「幸福立国ブータン」という本が届いていた。