天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

WTO徹底批判

 スーザン・ジョージの本。2002年に出版されているので、先に読んだ「なぜ世界の半分が飢えるのか」という彼女の名著(と私は呼ぶ)に比べると最近の本ということができる。内容がWTOに集中しているだけに、その実態がよくわかるし、よく調べて分析していると思う。
 しかし読みにくい。訳本なので、ということなのかもしれない。アイロニーに富んだ彼女の表現は、そのまま日本語にすると回りくどく聞こえるときがある。かと言って、原文の表現を無視して内容を別の表現で伝える訳は勇気がいることかもしれない。なので、どうなんだというと、彼女自身、この中で書いているが、この本の内容を解説することをすると、とてもいいかもしれない。普通の日本人の知識レベルに合わせた解説ができるといいかもしれない。内容が全てこの本に基づいていても、彼女は怒りはしない。むしろ推奨している。それほど、ここに書かれている事実を世界のより多くの人に知ってもらいたいというのが彼女の願いのはずだから。
 そして、この本全体を見事に解説した「解説」がついている。サブタイトルは「日本に住む私たちは、WTOをどう捉えたらよいのか」。佐久間智子さんという方だった。では、この方はどういう人で、その本は何かあるだろうかと調べてみるとそれほど多くはないが、「穀物をめぐる大きな矛盾」という本を書いていらっしゃる。市民活動家の一人のようで、この本のタイトルから分かるように、スーザンと同じ問題意識を大いにお持ちのようだ。そうなのか。こういう方々も日本にもいらっしゃるのだ。地味な市民運動が必要なのだ。
 何のために自分の限られた時間を使うのか。つまるところ、そういう問題にもつながる。マネーゲームにうつつをぬかすか。物事の本質を見抜いて、それを分かりやすく世界に広めることで、よりよい社会を、子供や孫、子子孫孫の世の中が暮らしやすくなるように努めるのか。
 あまりカッコつけた表現はやめて、この佐久間さんの解説の中で改めて認識した言葉がある。それは「情報リテラシー」だ。世の中には情報が氾濫している。無意味な情報から、重要な情報まで。おっと、無意味なことなどこの世の中には無いという見方もある。いづれにしても、種々雑多な情報をどのように理解するのか。理解する素養を持つことが大切ということが情報リテラシーということだ。今更のように思うのだが、毎日のニュースをただの出来事として聞き流すのか、その裏にある背景に思いを巡らせるのかで相当に情報の持つ意味が異なってくる。ムムまだ当面は勉強虫でいかなくてはならないカモ。