天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

上海キャンディ など

 「上海キャンディ」という本を読んでいる。作者は棉棉という女流作家。以前、「北京ドール」と「上海ベイビー」というのも読んだ。どれも女性による自己体験的な本。「ポルノか新人類文学か?」という帯もついていた。(上海ベイビー)今読んでいるのも、ものすごく「えげつない」描写がある。セックスとドラッグの世界。
 こういうのを書いたら売れたので、後追いで次々出て来たような感じ。日本で出版された順に並べると、衛慧の上海ベイビー、棉棉の上海キャンディ、春樹の北京ドールの順。上海ベイビーと北京ドールは発禁本とされており、今読んでいるのは海外用に書かれたものの日本語訳とのこと。中国で出せば発禁となること間違いないので、はじめから海外用としたらしい。即ち、中国で発禁でも海外で売れれば儲かるということもあるのだろうと思う。
 しかし、これらを読んでみて、現代の中国の若者の置かれた境遇における感情と、それによる半ば捨て鉢な行動が表現されていることは事実だと思う。しかし、それは上海とか北京においてということだろう。西安ではもう少し違うのではないかと思うし、大学がいっぱいある武漢も、集まっている若者の思いは上海とは異なってくるのでは。
 特に上海は、昔から外国人が多く出入りしている街であるため、若者はそのような文化に触れながら育ち、格差の激しい状況も目の当たりにする中で、自らを見失いそうになったり、行くべき方向を必至に見いだそうとする。そこへゆくと、内陸の方は皆がまだ貧しい。豊かになる為に必至に勉強をしている。荒稼ぎをする人間は限られているし、地方役人の不正が横行しており、そこに対する問題意識に燃える正義感を持つということがあるのでは。
 いづれにしても、ここに挙げた3冊の本は、これが中国現代文学とは認めたくない。「中国現代文学」という冊子に載っている小説の方は、そういう意味ではえげつないものはなく、むしろ他愛の無いものも含まれているように思える。発禁系の文章ではないからだろう。
 が、共通点は政治に関わる部分が無いということだ。純粋に表現の自由がある中で、ひたすら純粋に書かれたものにはまだお目にかかれないのか。