天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

中国映画「駱駝の祥子」

 これは中国の作家老舎(1899-1968)の作品の映画化だ。老舎は魯迅と並んで中国の文豪と言われている。老舎というのはペンネームで、本名は舒慶春という。ノーベル文学賞候補と言われたが、文化大革命のときに紅衛兵によって非業の死をとげた。
 原作のタイトルも同じ「骆驼祥子」。映画は1982年の作品だが、舞台は1920年代の北京だ。駱駝は当時は、荷役役として北京あたりには普通にいたらしい。祥子というのは主人公の名前。人力車夫の男だ。
 彼は、実家で飼っていた駱駝三頭を売って、商売道具の人力車の車を買おうとするが、まずは親方のもとで車を借りて車夫をする。そこの親方の娘に惚れられて結婚する。彼女の持参金で車を買って順調に仕事をするが、妊娠した妻が逆子のお産で亡くなってしまう。そのお葬式の棺代などを支払うために、車を売り払うはめになる。
 雇われ車夫のばあい、稼ぎは何ほどにもならない。同じ長屋には、酒飲みの父親と二人の弟を食べさせらために、体を売る娘がいた。彼女は妻とも親しくしていた。妻が無くなった後、売春をやめさせたくて、稼いで迎えに戻ってくると言って長屋を出て行ったが、彼が戻った時は彼女は売春宿で自殺をした後だった。
 映像からは、当時の北京を伺い知ることができる。この話は、その頃の、いや今でも同様の状況は残っているが、街に暮らす庶民は学歴も無く資産も無ければ、男はひたすら労働をして食いつなぐか、女なら体を売るしかない、という厳しい現実の中で生きている人々を描いたものだ。なんともやるせない感じをいだきながら、帰りにほんの10年前の中国の実情を書いた本を読んでいると、ほとんど似たような現実があることが書かれていて。またまた考えさせられてしまった。
 しかしそれから10年後の現在、若者たちの様子を見ていると、変わりつつあることに期待と希望が持てるように思えるのだが。