天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

「中国問題」の核心 清水美和著

 この本を読むと、訒小平以降現在の胡錦濤温家宝にいたる政治家の変遷がわかる。それだけでなく、本のタイトルどおり「中国問題」の核心が分かるような気がした。説明が不足の部分は、この本の前著「中国問題」の内幕というのを読むと分かることになっているのだそうだ。
 ともかく、これを読んで「おおそうか!」と思ったことを挙げる。
 まず、チベット問題やウイグル問題のこと。最近の暴動についてはそれぞれきっかけとなった出来事がある。しかし、不思議に思っていたのは、暴動は実は農村では最近とても多く発生しているが、その鎮圧ということについてはほとんど報道されることがない。そこへゆくと少数民族の暴動に関しては、えらい勢いで鎮圧をしている様子がニュースになっている。これは何かというと、そもそも現在の胡錦濤氏自身がかつてチベット地区の統括者であったときに、暴動に対して自ら軍隊の先頭に立って鎮圧をした。そのことが訒小平の気に入るところとなり、権力への道を歩むきっかけになったのだ。
 訒小平はその頃、天安門事件に至る民主化の動きに頭を悩ませていた時期だが、そこで反政府運動を力で制圧した胡錦濤の動きが、そのような時節には必要なことだ、と評価した。それが先例となり、少数民族自治区の責任者はその行動を真似て、暴動に際しては目立つほど圧倒的な軍事力で押さえつけているらしい。チベット人ウイグル人はたまったものではない。抗議行動を起こしたい問題(差別)を抱えながら、抗議行動をすると少数民族であることからか、必要以上に押さえつけられるのだから。
 そのほか、中国問題といわれるいくつかのことが、分かりやすく解説されている。尖閣諸島の問題、四川地震に際して軍の行動が遅かった理由、世界一の外貨保有国になってのスタンス、などなど。
 そして日中関係に触れて結んでいるが、そこで印象に残ったことは、抗日とかなんとか言っても、これから経済力をつけて、国内を統制してゆかねばならない新しい中国にとっては、日本はお手本になっているのだということ。しかして、日本がこの不況の時に次の手をしっかり打って、かつて公害問題やバブルなどを克服してきたように、お手本であり続けるべきだということ。米国頼みのパワーバランスの中で、中国に対抗しようなどと思わないことということだ。