天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

「大閲兵」

 中国映画「大閲兵」を見た。大閲兵とは、中国の国慶節(建国記念日)に天安門の前で行われる行事だ。中国建国の1949年以来、1959年まで毎年行われ、以後10年ごととしながら、その後文革の混乱で1984年まで行われることがなかった。大閲兵が復活したこの年に閲兵したのは訒小平であった。そして今年、2009年は胡錦涛が建国60周年の行進を閲兵した。
 この映画は、1984年の大閲兵の準備をする兵隊たちの有り様を主題にしたものだ。中国の兵隊というのは、恵まれない環境、例えば農村などで貧困層にいる男たちが、そこから抜け出すため、食うために、軍隊に入るケースが多いらしい。日本でも以前は似たような状況だったはず。ともあれ、その兵隊たちは、色々な過去や背景を背負いながら兵隊になったわけだが、大閲兵の行進に各原隊の志願者から選ばれて訓練に参加した。その訓練中の様子を描いた映画だ。
 厳しい訓練中の兵隊たちに、色々なことが起きる。同じ歩幅で、横一列、縦にも乱れず、あげる足の高さも同じ、頭右の合図で横向く角度も同じ、靴音を鳴らす時、鳴らさない時もそろえる。そのようにただ揃って歩くだけの目的に、色々厳しい訓練が課せられる。それに耐えながら、そのことに疑問を感じたりする。しかし、晴れて北京の天安門前で行進をすることができれば、兵隊としての名誉であるばかりでなく、軍隊の中での出世に繋がるのだ。訓練中に不適切とされた者達は、閲兵要員から外される。外れて元に戻れば、出世とは逆のレッテルが貼られることになる。みんな懸命だ。
 そのような状況にある中、若者たちの純粋な生き方が心を打つ。映画としては、閲兵の訓練場を舞台に、(制作費の少ない映画だったと思うが)そこに集まった人々の人間模様が面白かった。中国語と日本語字幕の組み合わせで、中国語の学習にもなる。(カナ?)今の時代、特に日本でこんなに素朴で純粋な若者たちがいるだろうか。同僚の間の友情や思いやり、上官に対する尊敬。もちろん反発や批判もあるが、みな純で白けていない。