天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

Kaleidoscope

 日本語で「万華鏡」。最近読んだDanielle Steelの本。あらすじを書いてみる。
 第二次世界大戦で、ヨーロッパを転戦しフランスの開放に参加した二人の米兵の話から始まる。戦場で命を共にするかけがえのない友人同士だった。その二人が、パリでフランス人の戦争被害者でもある女性と逢い、一人が恋に落ちる。戦争後、恋に落ちた二人はアメリカで結婚し三人の女の子をもうけた。男は兵隊の頃から俳優志願であり、妻の内助もあり役者としてニューヨークで役者として成功をする。
 一方の友人の方は、弁護士の家系で上流階級の世界で妻をめとるが、俳優となった友人と、パリから来た奥さんとの交際は続く。特に友人の妻は、美しく、心やさしいため、自らの結婚生活の寂寞とした有様に比べ、大変心引かれる思いであった。
 俳優夫婦は、ふとした行き違いから夫が妻を殺してしまう。弁護士は夫である友人から弁護を頼まれるが、うまくゆかず友人は自殺。両親を失って残された三人の娘を、弁護士は自ら引取って育てたいと思うが、心冷たい妻の同意を得られず、別々に里子に出してしまう。下の二人5歳と1歳の女の子は、裕福なあるいはしっかりした、子供の無い夫妻に貰われたが、当時9歳の長女は、貰い手がなく役者だった友人の姉にあずけられたままになる。この家は、貧しくどうしようもなく、長女は散々な目にあいながら育つ。
 生き別れになってから、30年後、弁護士は自らの死期を悟ったとき、この三人のことが気がかりで、探偵に三人の居場所を調べて会わせることを依頼した。
 途中経過を中抜きで話せば、30年後の三人の姿はこうだ。
 長女は、結局孤児院で17歳まで育った後、ニューヨークに戻り弁護士を訪ねる。妹たちの居所を聞くが、その時弁護士は、三人の居場所すら把握していなかった。その無責任さに激怒した彼女は、誰も信じることができない心境の中で、自力で学校に行きながらネットワーク会社のVIPにまでなる。
 次女は、貰われた直後に里親の父が亡くなり、若い母親は彼女を連れてパリに移り、フランス貴族と再婚することになる。次女はフランスの貴族の娘として育てられ、やはり上流階級の家にとついで二人の娘を得た。
 末娘は、弁護士の同業者の友人夫婦にもらわれた。その夫婦は社会派の弁護士であったことから、各地を転々と活動しながら、大変な経験を重ねつつ子供をそだてた。そんな影響から、彼女は社会派の医師としてアメリカでも貧困者の多い地域で医者として、多忙な日々を送っている。
 この三人は、死期を迎えた弁護士の計らいで会うことになるのだが、3番目の娘の父親は、この弁護士自身であったというオチもついている。この時まで、彼自身も知らないでいた。長女だけが、両親の夫婦の争いの会話の中でそのことを知っていたのだった。
 ダニエルの小説は、最後はいつも読者を裏切らない。ハッピーエンドだ。この本は20年以上前に初版されたものだ。彼女の小説を読むといつも感じることだが、平易な英語であり、簡潔なことばでさらりと気持ちの移り変わりなどを表現するところが、とても心にくい。このあたりが、多くの読者を得ている所以だろうか。
 読み終わるとすぐに、次の本を発注してしまう。