天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

Sunset in St. Tropez by Danielle Steel

 ダニエルの2002年の作品。中のいいやや高齢の3組の夫婦の物語。短めの小説で、何かファミリー系のアメリカのテレビドラマの筋書きのような感じがする。というのも、ハリウッドスターや地中海の贅沢なクルーズ用のヨットの様子など、画面の絵になるような光景が多々出てくる。
 ニューヨーク在住の3組の中のいい夫婦が、次の年の夏休みを南仏のSt. Tropezという場所で過ごそうという計画を立てる。3人の妻のうちの一人はパリ出身のバレリーナであるので、この計画の推進役となる。
 後の2組の夫婦のうちの一人の妻が、キャリアウーマンだったのが突然死する。皆で残された夫のことを心配知るが、ある日彼がオスカー賞を取ったハリウッドの美人女優と食事をしているのを見かける。
 結局、南仏に皆で借りた家に、その女優が奥さんの代わりに来ることになる。他の二人の妻たちは、亡くなった友人の夫が女優と仲良くするのを好ましく思わず、冷たくする。しかしその彼女が実はとてもいい人で、残された夫ロジャーとは20以上の歳の差があるものの、とても愛し合う間柄になる。
 南仏に借りた家は、実はもう何十年も使われていなくて、庭は荒れ放題で家もボロボロだった。先に来て準備をする役のフランス人妻はみんなをガッカリさせてはならじと2日のうちにそこの管理人夫婦や不動産屋から派遣された人達と大掃除の大奮闘。
 などなどドタバタの出来ごとの中に、夫婦男女の人間模様が描かれていた。
 面白かったのは、フランス人妻の夫がよそ見をしながらソーセージを食べた時に、塊をのどに詰まらせて行きが出来なくなるという危うい場面があった。その時たまたま皆出かけていて女優の他に人がいなかった。彼女の機転を利かした介抱で夫は助かり、そのことが女優のことを奥さん方が受け入れるきっかけにもなった。
 で何が面白いかと言うと、この間違えて物を飲み込むことを誤嚥というが、もう一冊読んでいる「リスボンへの夜行列車」にもちょうど今日読んだところにこの誤嚥が出ていた。こちらの解決方法は深刻で、兄がとっさにナイフで咽を切って息ができるようにして妹を助けたというものだった。
 たまたま同じ日に、別の小説で同じ誤嚥が題材にされていて、物語の展開がまったく違う点が何とも面白かった。