天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

映画 訒小平

 毎月見に行く現代中国映画上映会が、今月は昨日でした。5時過ぎに神田の事務所を出て、神保町のキッチン南海で腹ごしらえをしてから、上映場所である後楽園のシビックセンターへ。
 恋愛や家族愛をテーマにした中国映画が多い中、この作品は国威発揚のような映画であり、有名人ヨイショ映画のようでもあるのですが、なかなかよかった。90%以上の中国の人は間違いなく感動!(すると思う)
 文化大革命の終わりから、1997年の訒小平氏の没年までの歴史の変遷の中で、氏がどのように動いたかがよく分かります。本で読んでたことを、映像で確認するようでとても臨場感があり、実感をともないます。
 映画の中で、イタリア人女性記者が訒小平に大胆な質問で突っ込みインタビューをするのですが、インタビューの終わりに、
「今日は、世界中で最も公正な政治家に会うことができました」
と言って去る場面がありました。これも事実そういうことがあったので、彼の人柄を表すエピソードとして組み入れられたのだと思いますし、彼の受け答えに対する記者の素直な感想だったと思われます。
 イギリスのサッチャー首相との会談も素敵だった。香港返還をめぐっての論議でしたが、何らかの形で英国の利権を残そうとするサッチャーの言い分に対して、毅然とした態度で中国への完全復帰を主張する訒小平が写っていた。復帰後の一国二制度は、復帰時点での混乱を回避し、香港の現状を維持しつつ、活用するための経済政策として有効に働いていると思います。
 このような香港の存在は、中国本土の人々にとって一種独特の思いがあるはずです。そのあたりは、この前のゴールデンウィークに出かけた時、香港を海から見る中国の人たちの旅に同行した様子を今度書きます。
 ともあれ、この映画を見て感じたことは、訒小平の人柄や中国への貢献もそうですが、今の中国あるいは中国人にとっての毛沢東は何なのかについて、理解が進んだように思いました。
 まず訒小平氏の貢献は、日中戦争に勝利し、国民党との争いにも勝った共産党が、権力闘争の手段として用いられた文化大革命のおかげで、中国が文化的にも産業的にも衰退疲弊してしまった。その状況から今日の経済大国と方を並べるまでに国力を回復させたことにあります。そのことを進める彼の動機は、権力でもなく金でもなく、中国国民(中国式には人民)への愛、悲惨な生活状態から豊かな国にしたいという願いだったと言う点が感動です。
 中国の国力回復という活動の中では、文化大革命の批判に触れざるを得ないのですが、氏はそのことと毛沢東の本来の功績をきっちり整理し、「毛沢東なくして現在の中国はない」ということをはっきり言っています。ひょっとするとこれもこの映画の主題の一つなのかも知れません。