天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

人権の問題

 企業では、人権研修というのがある。差別をしないで、皆平等に扱いますよという姿勢を見せながら、従業員に研修をする。今日は、その教材のようなものを見ていた。
 人権問題というと、その代表が同和問題と思っていたが、最近では企業内ではパワハラやマタハラを問題にしている。
 今日見た資料は、どういう立場の人権に関心があるかというアンケート数字のようなものだった。
 一番が高齢者の人権。高齢化社会だからそういうことか。いろいろな切り口で人権が分類されて、どれに関心があるかという数値だが、高齢者の他には、今取りざたされる災害被害者の人権とか、犯罪被害者、性同一性障碍者の人権、ハンセン病患者の人権、その中に部落問題もあったが、現代ではこれは関心度を示す数値は低い方だった。
 ところで、これだけ人権の視点をあげておきながら、日本なら忘れてならない被爆者の人権というのがあるはず。原爆の被爆者は長い間、病気そのものと差別に苦しむ生活を余儀なくされていた。それから水俣病などの公害の犠牲者の人権も長い間の戦いでようやく日の目を見つつある。であるのに、今日の資料にはそういう人権の問題があることが視点の中に入っていない。
 企業論理の視点や体制側の視点での人権には、こういうものは要らないのか。被爆者の人権という視点をあげると、福島の原発事故の被害者のことを取りざたしなくてはならない。また、公害被害者という視点をあげれば企業の営利追及の犠牲になってきた庶民全体の問題に光をあてなくてはならない。
 そういう視点を欠いた人権の分類、分析などは何の意味もないだろう。誰も置き去りにしない社会を目指すという視点からは、一部の庶民生活を犠牲にした利益の追求こそ大いに反省して見直すべきではないだろうか。
 肝心なことに目をつむって、これ見よがしの人権研修をやってお茶を濁す。日本はまだこの程度のクニということか。