天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

「従軍慰安婦問題の歴史的研究」 倉橋正直

からゆきさんの流れで「北のからゆきさん」まで読んだが、これはその著者倉橋さんが書いた本。
からゆきさんというのは、経済が発展し、日本が明治維新で商品経済が発達し始めたころ、貧困から逃れるために海外に女を売りに行った人たちのことだ。当時は、世界的に見て諸般の事情からそういう行動にでる女性は日本が一番多かったらしい。

名誉なことではないが、当事者たちに罪はない。元々江戸の昔から貧困から娘を売るということが行われていた。開国後、商品経済が発達すると生きるためにお金が必要になる、等々の事情があった。
 この本は、そういうからゆきさんと、現在訴訟などで問題になっている従軍慰安婦とは、別の問題であることをわかりやすく説明しているともいえる。
 従軍慰安婦とはそもそも、日本の兵隊を戦場に長期間貼り付けにするため、すなわち帰国休暇などをさせるよりも、現地で慰安を与える方が安上がりで好都合だったこと。そして性病予防などの健康管理(?)が目的で売春業者の渡航を推奨していたことがはじまりで、その限りにおいてはそこに行く女性たちの中には、どうせ女の商売をするなら荒稼ぎをしようという人もいても不思議ではない。
 倉橋氏によると、従軍慰安婦には二つに分けられる。即ち、売春婦型と性的奴隷型という表現をされている。前者がからゆきさんの流れのようなもので、後者は強制連行された多くの朝鮮人女性たちのような人達で、賠償が問題になる。日露戦争のころはまだ売春婦型で、シベリア出兵あたりから強制連行による性的奴隷型の犠牲になる人たちが出てきたと分析されている。
 陸軍は、証拠を徹底的に消滅しているので、軍が関与したことを示す文章はないそうだが、まだまだこの分野の歴史的研究がされていないと倉橋氏は言う。強制連行の被害者として数の上では朝鮮人女性ということになるが、中国でも「ガイサンシー」のようなひどい事実があった。そのことを書いた本を読んだ時の記録がこれ。↓
http://d.hatena.ne.jp/mm3493/20141202#1417525395
 従軍慰安婦の問題は終わっていない。日本が、日本軍がやった犯罪であることを認めて、被害者とその遺族、国に対して謝罪しないことには終わらない。もうすぐ出るはずの安倍談話は、この問題をどう語るのだろうか。