天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

中国映画「女帝」

 久々に中国現代映画の鑑賞。2006年の作品で原題は「夜宴」(The Banquet)というもの。
 女帝というので、西太后のことかと思ったら違った。時代は10世紀。唐が滅んで”五代十国”と呼ばれた時代の話だった。この頃は乱立した王朝の内部では、親族ですら殺しあう権力争いが行われたが、その結果皇后が生き残って女帝となる様が筋書きとなっている。
 最初に見て驚いたのは、この映画の現代性だった。決して中国の昔の涙を誘う筋書きや、無理やり感動的な場面を作る感じの映画ではなく、中国という文化の流れの中で、その時代を舞台にして、現代の映画技術や画面の芸術性と敢えて言うがそういったものが表現されている。
 白い面をかぶった白装束の踊り手たちが、現代的な身動きの踊りを竹の舞台で踊る場面から始まる。そして、最後のクライマックスがまさに原題の夜宴であり、ここでもこの恰好の踊りが出る。この踊り手の中心が当時の小国の皇太子だ。
 彼は恋人を父の皇帝に奪われ、彼女は新しい妃となった。その父を叔父が殺して皇帝の座を奪ったばかりでなく、その妃をも自分のものにした。恋人を奪われてのち、山にこもって踊りに明け暮れていた皇太子は、ひそかに復讐をしようと国に戻ってくる。宮殿では、先帝の家臣で先帝に忠義を尽くそうとするものが惨殺されるのを見て、生き残るために誰もが平気で他人や自分自身を裏切る。そんな中で、一筋に皇太子を愛する家臣の娘も出てくるが、純粋過ぎて痛い目に会い、最後は命を失うことになる。
 時代背景は違っても、何か現代に通じるものを感じる。
 それにしてもこの映画は、現代のエンターテイメントとしての質の高さを感じた。監督はフォン・シャオガン、主演女優の周迅は解説書によると中国の四大女優の一人だそうだ。38歳ながらスリムで美しい。