天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

中国映画「ウインター・ソング」

 現代中国映画上映会の今月上映の作品。2005年の作品なので、まさに現代中国映画そのもの。見たままの印象を書いておこう。
 愛をテーマとしたエンターテイメント映画。ミュージカル映画的な要素があり、ストーリーもあり、現代映画としての要素はしっかり備えている。現代は「如果・愛(Perhaps Love)」、もしかして愛とでも訳すのだろう。第62回ベネチア映画祭閉幕作品、第43回台湾金馬賞最優秀監督賞(陳可辛)・最優秀主演女優賞(周迅)受賞作品というそうそうたる肩書の映画。
 香港から上海に撮影に来た映画俳優の男(林)は、その相手女優(孫)が10年前に別れた彼女であることに気づく。しかし女の方は気づかぬふりをして、過去のことは無かったことにしたいと思っている。10年前、二人は北京で映画の仕事にあこがれて共に苦労をしていたのだった。林は監督志望であったが、孫は女優を目指していた。
 孫は、美貌を生かしてチャンスをつかむために、二人で暮らす倉庫の奥のような部屋からいなくなった。林のほうも、失意で香港に帰ったが10年後に俳優として上海に来ることができたのだった。そのとき、孫の方は上海の映画監督によって映画界のスターの座を得て、彼と暮らす生活をしていた。その生活を10年前の恋人に壊されるのを恐れたのだが、実はまだ林のことを愛していることに気づかされる。
 二人と上海の映画監督との間の三角関係で物語が展開するところも見どころ。撮影現場が映画の撮影所のセットそのものを舞台としていて、リアルな場面と撮影中の映画の場面をわざと複層させて、見るものを幻惑させる。
 通して歌や踊りが多用されているところが、ミュージカル的だ。
 しかしこれはれっきとした中国映画だ。夢を描きながら、貧しさから抜け出そうという若者の存在と、そのあり様が中国ならではの感じがした。
 ちなみに、この主演男優は金城武と言って1973年の台湾生まれで、日中ハーフの日本人だそうだ。