中国映画二本
「宗家の三姉妹」と「孫文 100年先を見た男」という二本の映画を立て続けに見た。現代中国映画上映会の日だった。辛亥革命から100年にあたる年なので、映画会もこのようなラインナップとなったのだろう。二本を連続して放映したのではなく、入れ替え制で間に1時間半あったので、フィッシュ アンド チップスにエールビールで小腹を満たしに行った。そう、映画を見る場所が後楽園だったのでまたロンドンパブに行ってしまった。今日はハロウィーンなので、このようなお店はそういう雰囲気を出している。カウンターのお兄さんはドクロのお面をかぶっているし、料理を持ってきてくれたお姉さんは頭に黒い角をはやして、可愛い小悪魔ちゃんになっていた。
おっと話題は映画の方だ。宗家の三姉妹とは、長女が宋霞齢といって中国の富豪に嫁いだ。二女の宋慶齢は孫文の妻となり、三女の宋美齢は蒋介石の妻となった。そもそもこの宋家というのは上海で出版業で金持ちになった家で、この三人の娘を十代の頃にアメリカに留学させるという進歩的な親だった。時代は中国の激動の時代であり、三人の娘はそれぞれの生き方をする。実在の人物ばかりなので、すべて事実なのだが本当に歴史ドラマを見るようだった。中でも孫文の妻で、孫文亡き後もその遺志を継いで活動した宋慶齢が中心人物だろうか。今でも宋慶齢基金というのがNPO法人としてあり、日中で色々活動している。自分も時々この基金主催の講演会に行ったりする。
さて二本目はその革命の歴史を孫文の足跡をたどることで見てゆくようなタイトルだが、内容は辛亥革命の前に孫文がペナンに潜伏して革命の準備をしていた頃の恋物語だった。恋物語の孫文の相手は宋慶齢ではない。宋慶齢と結婚するのは辛亥革命の後で、袁世凱から追われるようにして日本に潜伏していた頃だ。ペナン島は当時英国領であるが、中国人の華僑が経済の中心であった。華僑である中国人が同じ中国人を搾取する図式がここにもあったことが分かる。先に来て商売を始めた中国人が、あとから食い詰めて国を出てきた中国人をこき使っている。ここでも孫文は労働運動のようなことをして、労働者の待遇改善をして感謝される。
ここにも清朝政府から懸賞金のかかった孫文を狙うものがいるが、最後はこの地の豊かな華僑たちから革命資金を調達することに成功してそのあと広州で蜂起するが失敗。10回目の失敗だったらしい。その後武昌で起こした革命が1911年の辛亥革命であり、清朝はこれにより倒れたのだった。辛亥革命以降が「宗家の三姉妹」のほうに詳しい。面白い二本立てだった。