天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

「人は愛するに足り、真心は信ずるに足る」

 これは、アフガニスタンで活動されている中村医師と澤地久枝氏の対談本。中村氏の著作「医は国境を越えて」を読んでいるところだが、ふと最近の状況を知りたく、この本を注文した。今日届いて、一気に読んでしまった。根をつめると眼にはよくないかもしれないが、とにかく読んだ。
 中村氏の活動は今も続いている。そこに昨日だったか、アフガニスタンで米軍のヘリコプターが撃墜されて30名以上が亡くなったというニュースが流れた。この報道だけでは犠牲者はアメリカ軍であり、アフガニスタンはテロで危ない、ひどい奴らだという印象を植えつけてしまう。用も無いのに米軍がそこに行くからいけない。中村医師の本を読んでいるおかげで、アフガニスタンという国への理解が
大分深まった。イスラム社会のことなども少しずつ。
 アフガニスタンにはもはや組織だったテロ集団などというものは無い。昔から複数の部族社会であり、彼らの生活を脅かすものに対して抵抗をするだけだ。夫や息子を殺された女は復讐をする。イスラム社会では復讐ということが行われる。以前はどの世界でもそうだった。日本も法治国家になってから、個人的な復讐は違法となった。江戸時代は親のカタキを仇討するのは美談であった。
 それにしても中村医師はスゴイ。掲題の本は約1年前のものだが、この当時、日本人ワーカーの一人がテロの犠牲になったことから、日本人のワーカーは全て引き上げた。しかし中村医師は独り残って、井戸を掘ったり用水路を作ったりという活動を続けている。
 ペシャワール会という支援団体が行う氏の講演会は、資金集めの活動だ。その講演会が池袋豊島公会堂であるというので、念のために入場券など予約をしようとしたら既に「前売券完売」とあった。キャンセル待ちをしながら、当日券にかけるしかないか。それにしてもメールでの問い合わせに対して、丁寧に答えを返してくれる方がいる。こういう活動を支援している人だからそうなんだろうなと、自分の仕事の仕方などまで反省する。
 さて本のことだが、この本では中村氏が自分の著作にはほとんど書かれない、ご自身のことが澤地さんによって取材され披露されている。取材本としては「ドクター・サーブ」もよかったが、こちらは対談の形なのでより読みやすく氏の人柄が出ている。それでもあまり心情を吐露するというような場面はさほど多くない。自分のことはサラリと語る。照れ屋なのだと言えばそれまでだが、こういう活動はガタガタ話すことではなく、実行することが大事なのだと示されているようでもある。
 日本のお役人や政治家が適切にこのような活動を理解し、支援しようという動きが無いのが残念だが、若者たちの中にこの活動に呼応していく動きがあるようで、このことに氏も期待をかけているところが希望につながる。