天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

アフガニスタンで X 2

 「アフガニスタンに住む彼女からあなたへ」と言う本を読んだ。望まれる国際協力の形と題した、山本敏晴氏の本。
 どうしてこの本を手にしたのかというと、アフガニスタンで活躍する中村医師の本をネットで買おうとしていたときに、アフガニスタンというキーワードでamazonからお薦めされたのだった。お薦めに弱い私としては、どれどれそれはどんなもんじゃろ、と買ったのだった。結果オーライ、買ってよかった。おかげで色々なことが分かった。
 著者の山本さんは、中村さんと同じ医者だ。医者として色々なところで国際協力をされているらしい。その活動のうちの一つにアフガニスタンでの活動があり、この本はその活動の記録だ。
 タイトルや本の表紙からは、中村さんの本と違ってやわらかい感じがする。中の文章も語り口調や、面白おかしく構成した会話文があったりでやわらかく、スイスイ読める。で、その活動もやわらかいのかというとそういうことではない。あのアフガニスタンだ。半端なことではなにもできるはずがない。
 山本氏の活動時期は2002年から2003年にかけて。中村医師と比べるとほんの短い間のようだ。同じアフガニスタンでも北部地域であり、中村医師のパキスタン国境付近とは異なる場所だ。読んでいると、現地で活動を進めるための細かいチェックリストが書かれている。まるで教科書。教科書通りの活動をする山本氏は国際援助活動の優等生のよう。
 中村医師の本によく書かれているが、政府や国連のような機関が行う国際支援活動は、バラマキでありかつ持続性がない。支援のために集めたお金も、組織運営と現地の有力者の手に流れるだけで、本当に困っている人たちのためにはほんのわずかしか渡らない。まさにそのような活動の一つなのかと思われる。
 しかし読んでいると、短期間ではあるがそれなりにアフガニスタンの国民性などの中で苦労した話が縷々書かれている。やているご本人は真剣であり、持続性と言う点では後継者と言う人に引き継ぎをしている。また現地スタッフを育成することが大切というのも理にかなっている。それでも中村さんの27年間に及ぶ活動の継続と拡大には及ばない、と言わざるを得ない。
 政府関連の組織的の中で取り組む活動の限界を思わざるを得ない。機関から資金提供を得るために、そこのプログラムに従った活動と、それなりの成果をあげたレポートが求められる。最悪の場合、内容を伴わない形ばかりの活動(たとえば水の出ない井戸を掘るとか)をして成果報告をして終わりにしてしまうという例は、中村氏がよく書いているところだ。
 この山本氏の場合は決してそうではなく、相当の努力をされてきており、また彼は次々と別の機関でも活動をしている。しかし、ことアフガニスタンに関して言えば、現地の人の生活の中に入り込んで共に暮らしながらの活動の方が真に人間的な活動と言えるのではないだろうか。
 ルワンダで活動する真美さんもしかり。援助活動のために国際組織に参加するのではなく、個人として活動を開始し、その活動を支援する体制を自ら作っているのだ。
 山本氏のこの本の中では、個人的に危険を顧みず活動をすることへの批判も書かれている。事故があった時の周囲(日本国の組織や知人)への迷惑を非としている。
 これはどちらがいいとか、本来どうあるべきというような問題ではないだろう。その土地に心身ともに入り込んで、簡単にはまねのできない活動をされている人たちにはできる支援をしたいし、組織的活動は自分が行動を起こしたい時の入門としてはどうだろうか。が、そこだけでやっていたら役人と同じようなものになってしまう。中村医師も元はと言えばキリスト教団体から派遣された身分だったのが、そこから飛び出して自らが良かれと思う活動を開始したのだった。その土地にはまったのだ。