天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

新版「悪魔の飽食」

 森村誠一氏の著になるこの本は、読み継がれなくてはならない。新版となっているのは、初めに出たものから少し変わっているからだ。掲載した写真が一部違うものだったらしい。そして、本自体の説明的な部分が増えていると思われるが、原版を手にしていないのではっきりしたことは言えない。
 これは満州における日本陸軍の秘密部隊の話だ。フィクションではなく、実録。「日本細菌戦舞台の恐怖の実録!」というサブタイトルが付いている。以前からこの本の存在は知っていたが、やっと手にして読んでみた。
 途中で読むのをやめたくなった。それくらいひどい。ひどいことを当時の日本軍は実際にやった。読んでいて吐き気がしそうだった。
 戦争という特殊な状態の中で、特に侵略する側の人間の残虐な振る舞い。ここまで残虐になれるのか。集団狂気としか思えない。読み進むと分かるが、こういう舞台が出来たのは一人の異常な人間によるものだったといえる。本がそう語っている。
 森村氏は冷静に見ている。狂気に満ちた異常人間が、権力志向でありこれが原因となったことは事実として、そこに居合わせた他のひどいやつらというのは、全て実在人物であるが、ひょっとすると誰でもなりうるということだ。
 戦争と言う異常な環境の中であるから、普通の世の中なら苦学生が頑張ってエリートになるという程度のことが、軍において権力を得ようと自分の得意分野を利用する人間が出てくる。その人間にモラルというものが無かったため、周りを不幸にした。一番の犠牲者は被侵略側の人たちだった。
 だから戦争などという行為は絶対にいけないのだということだ。人間性を狂わして、加害者側も被害者側も共に最悪の不幸な状態になる。国と国とのもめごとが戦争の原因である。もめごとの原因となることは色々あるが、自国中心主義から来るものが多い。
 ともかく戦争はいけない、ここまでひどい事実があったということを伝えて、戦争に対する嫌悪感を皆が持つように、というのがこの本の趣旨だと思った。