天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

習近平の法思想

 先日聞いた、掲題の講義内容をまとめておきます。
 中国の法や制度といえば、現役時代、中国に支店や現地法人を出す仕事に携わったことがあり、その際に手続きの煩雑さなどに翻弄されたことを思い出します。またそこを上手くやる中国人スタッフもいました。そうしたことが、どうなっているのか、今回の話を聞いてなるほどそうか、と納得する思いがした。
 講義の題は「習近平の」ということで、これは彼がその講和の際にたびたび「依法治国」という言葉を用いる。文字通り法で国を治め方針だという訳だが、また「社会主義法治」という表現も多く用いる。これはどういうことなのか、ということを解説した講義だ。
 まず前提となる言葉の、中国的解釈。
 中国は「法治国家」であるとされているが、法により適正に統治されるのは、「人民」であること。「人民」とは、日本の「国民」と同じかというとそうではない。「人民」とは社会主義思想を堅持するもの、即ち中国共産党に賛同するものである。そうした人民であれば、法の下に公平に、公正に扱われる。が、「人民」の枠外の人間に対しては、法の枠外の取り扱いを受けるということでもある。
 中国の法解釈の基礎理論として、次の4点により説明される。
1.政策法
2.敵・味方の論理
3.非ルール的法
4.非公開の法
 はじめの政策法とは、条文化された法規よりも政策が優先されること。政策としてやってみて、あとから立法化されてオーソライズされる。従って、法規にないことでも、どんどん規則ができてそれに従うことが求められる。これは、中国は社会主義国家であるから、制定した法規に基づいた社会運営に失敗は許されない。よってまず政策として実施して問題ないことを法律としていく。
 次の敵味方の論理は、社会主義国においてはその主義主張に賛同する「味方」とそれ以外の「敵」に分けて考える。すなわち、上記の「人民」あるいは憲法や法律を遵守する「公民」が見方であり、この人たちのための法規であるということ。したがって、「敵」に対しては法の保護はない。
 非ルール的法というのは、1点目の政策を定めるに当たっては既存の法に矛盾することもあり得るということ。法改正についても失敗が許されないので、先に既存の法規とは異なる内容でも政策として取り決められる可能性があるということ。
 最後の非公開の法というのは、例えば「敵」とみなされたものに対する取扱い方はどこにも公開された法がない、にもかかわらずその処置に一定のルールがあるらしい、ということ。そのルールの中には、習近平の意に反するものは敵とみなすということがあるかもしれない。
 習近平は、腐敗を許さない政策で「人民」に圧倒的な人気を維持している。ように見える。実際、中国人の友人・知人はみな彼のことを評価している。建前かもしれないが、それにより、つまり人民人気に乗って、習近平憲法改正をして国家主席の任期を無期限にした。
 このような状態を、講師の高橋氏は「劇場型社会運営」と称している。つまり人民は観客として、官の運営する舞台を見ている。手にはパンフレット(法律)を持って舞台の上の演技に喝さいを送る。舞台の上では、時々台本にないことを監督(主席)が裏から指示をしている。
 観客の中で、舞台上の演技に不満でヤジを飛ばしたりすると、客(人民)ではないとみなされて、楽屋に連れていかれて黙らされる。芝居の宣伝は、時に過剰広告のようなものもある。
 この例えは、とても分かりやすいと思うがどうだろう。