天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

マレーシア映画

 今年初めての電車に乗ってのお出かけは、東京外国語大学。府中に移ったとは知らなかった。聞いていても気にしていなかった。そこに映画を見に行った。
 東京新聞に出ていた情報で、予約不要で無料というお手軽な映画観賞会。しかも府中という近さ。孫姉妹も住んでいる。
 映画はマレーシア映画のJAGAT(世界の残酷)という2015年の作品。


 マレーシアという国は、親しい人が駐在で仕事をしていて、マレーシア仲間のゴルフコンペに誘われるままに、マレーシアに行ったこともないのに参加していた。というくらいで、彼の話ではでたらめな英語で通じるような気がするということだった。マレー人と華僑の中国系人種の国と聞いていたが、今日の映画はそこに暮らすインド系の人たちの話だった。
 大学で行われる上映会だけあって、ただ映画を見せるだけでなく、ちゃんと解説する人がいた。戸加里康子(東京外国語大学非常勤講師)という人が、登場人物の関係を図示したものを作成して説明してくれた。ここにも載っていた。
https://tufscinema.jp/180106-2/
 解説によりますと、マレーシアはマレー系の人のほか華人とインド人がいるそうです。この割合を調べてみると、マレー系(約65%)、華人系(約24%)、インド系(約8%)ということで、インド系はタミル人が多いらしい。なのでこの映画で聞こえる言語は、タミル語が主で、マレー語、中国語といろいろだった。画面の下部に英語の字幕があり、右側に日本語字幕が付加されていた。
 この映画の主人公の少年は、タミル系。彼らはマイノリティで、大半がゴム農園の労働者だった。映画の中のセリフにも出てくるが、鞭でたたかれて仕事をしていれば生きてゆくことはできたが、自活できる仕事をするのは大変だ。華人の経営する工場などで安い賃金で働くか、貧困から逃れるためには、ギャング団として麻薬の密売や、借金の取り立て業をするしかない。
 少年の父親は、少年を学業で独り立ちできるように厳しく教育するが、同居の叔父はギャング団のメンバーで、暴力で物事を解決するさまを見て育つ。結局彼がどのようになるのかまでは語られないが、最後のシーンはギャングの一人から煙草をすすめられ、それまで吸ったことのない煙草を手にするところで終わる。悪いほうに行く可能性が十分にあるということか。
 ことほど左様に、「世界の残酷」というタイトルが示すように、世界は残酷なまでに生まれ落ちた境遇や民族で格差があり、その世界から抜け出すのは容易ではない。
 正月早々考えさせられる映画を見た。