天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

単騎、千里を走る

 最近現代中国映画の上映化に行くことが少なくなっている。ほかのことに時間を使う選択をしているわけだ。が、今日は中国で流行った映画の上映を主催する側で見た。すなわち、日中友好協会八王子支部が文化講座として行ったイベントだ。自分はDVDを操作する係であった。
 昨年亡くなった高倉健さんが中国で人気なのは、この「単騎、千里を走る」という映画や、「君は憤怒の川を渡る」という映画に出演したことによる。「単騎、千里を走る」の方は中国雲南省を舞台に父と子のつながりを描いた中国・日本合作映画。題名は『三国志演義』の関羽曹操のもとから劉備にもとへ帰った故事に由来している。監督は中国側を張芸謀チャン・イーモウ)監督だ。


 高倉健扮する高田健一は、息子との関係が壊れてしまった状態であったが、その息子が癌でもう仕事ができなくなることを知る。そこで、中国の仮面劇を研究していた息子のし残した仕事をしに行こうと中国の雲南省の山奥まで出かける。それは、その地方に伝わる仮面劇の録画をしたことがあるが、その役者と次に来るときは役者の得意とする「単騎、千里を走る」の場面を録画するということだった。
 高田がそこまで行ってみると、その役者は傷害罪で刑務所に入っていた。普通なら獄中の役者の演技をビデオにとることなどできないのだが、高田の息子を思っての執拗な依頼に警察側も折れて、監獄に連絡をして手配をしてくれた。ところが、いざ準備ができると肝心の役者が田舎にいるはずの息子に会いたくて芝居どころではないといった状態だった。高田は、その息子を連れてこようとして役者の田舎まで行く。
 まだ子供のその息子は、父親を知らずに育っており、連れて帰ろうとする途中で逃げ出してしまう。そうこうしているうちに、日本の息子の嫁から息子が死んだという電話が入る。父親が自分のために中国まで行ったことを知って息子はとても喜んでいたという話だった。
 涙なくしては見られない映画で、主人公と素朴な村人たちとのやりとりがいい。DVDの機会の横で何度もはなをかんでいた。
 文化大革命が終わって、日本の映画も紹介されるようになった時期の映画だ。文化大革命のおかげで、人を信用できなくなってしまった中国社会に、親子の思いやりや、他人のために何かをするということの美しさを思い出させてくれた映画ということだろう。
 雲南省の山々の景色が美しく、印象的だった。