天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

44 Charles Street by Danielle Steel

 久々に読み終えた気のするダニエルの小説。タイトルはニューヨークの住所だが、ここにある古い素敵な家に住む人たちの物語りだった。
 主人公のフランチェスカは、愛し合う彼氏とここに住み、二人でソーホーにギャラリーを経営することにいそしんでいた。しかしその彼は元々ウォール街で活躍するファイナンシャルビジネスの世界の人間だった。その彼が、そちらの世界に戻ることにして、フランチェスカとの関係も終わりになる。
 フランチェスカは、二人で手に入れたお気に入りの古い家とギャラリーが諦めきれず、ギャラリーは独りできりもりし、家のローンはいくつかの部屋を4人で使うようにして、ローンの負担を分散してくれる同居人を募集した。これはそこから始まる人間模様の物語りだ。
 フランチェスカの家のテナントとなったのは、明るい田舎娘と、亭主と死に分かれたばかりの著名な料理家のおばさん、それと子連れで妻と別居の実業家。貸し部屋で敬遠される子供は、母親側にいて週1回訪問ということなので、居住を認めた。この組み合わせの同居人が実にいい雰囲気で暮らし始めた。しかし、個々人は一面に問題を抱えていた。ハッピーだけのように描かれているのは料理のおばさんだけ。
 若い田舎娘は、ネットで知り合った男たちとデートを重ねる。そのうちに虐待趣味の男と出逢い、そこにはまってしまう。実は父親の虐待を受けて育ったという暗い過去がはまる要素としてあった。その結果最悪の結末となり、彼女は命を失う。
 子連れ男は実にいいジェントルマンであるが、その妻は実は麻薬中毒患者。本来子供を引き取る能力は無いのだが、彼女の父親が大変な権力者であるため、問題が起きても彼女が息子と暮らせるように手回しをしてしまうのだった。それでも次から次に問題が起き、最後は父親が引き取ることになった。その頃には息子のイアンは同居人達皆から愛され、可愛がられるようになっていた。
 フランチェスカ地震もイアンのことを大変に心配し、父親である同居人とも次第に親しくなっていった。
 田舎娘が死に、料理のおばさんは、古い付き合いの同じ料理人友達のフランス人男性と再婚をして出て行くことになると、その家にはイアンと父のクリスだけが残った。様々な問題を一緒に乗り切ったフランチェスカとクリスとイアンは、正式に3人で暮らすにあたり、皆で済んだチャールズ通り44番地の家を手放すことにした。
 簡単にあらすじだけ書いてしまえば以上のとおりだが、ここで感じたことは二つ。
 まず、家族でもない人達の集まりでも、お互いを尊重しあい愛し合う暮らしが成り立つということ。そして、クリスの出身はボストンの旧家で、古い伝統と資産を守りながら生きている人達だったが、今もアメリカにはそのような家族があり、それがチャールズ通りの家で出会った人達の生き様との対比が面白い。
 そして、フランチェスカはその家を一つの通過点として、次のステージに移る決心をした。人生にはいくつかのステージがあり、常に次を目指す方が、歴史の遺物のような生活よりなんと人間的なことか。