天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

1円の本

 古本屋はたまに利用するが、なかなか1円の本というのはない。が今回1円プラス送料で本が届いた。こんなこと前にも書いたように思うが、またあらためてこれって本に悪いと思ったり、物の価値ってなんだろう、とかお金の意味を考えてしまう。
 買った本は「替天行道」。去年から北方謙三氏の水滸伝19巻を読んでいる。ゆっくり読んでいるので現在9巻目だが、この物語では「替天行道」と題する書きものを色々な男たちが読み、感じるところあって行動を起こす。物語の時代は中国の宋代末期。腐敗した世の中を憂えて書かれたものが替天行道ということだ。書いたのは物語のなかの主人公の一人である宋江という人物。そこには一体何が書かれているのだろう。水滸伝を読んでいると、あまりに何度も出てくるし、それを読んだ人の心に残るものとして書かれているので、一度見てみたくなる。それと同じタイトルで出ている本なので、洒落だろうと思いつつも確かめてみたくなった。
 先日ブックオフに行ったら、この水滸伝19巻が1冊105円で全巻そろって売っていた。ゲロゲロ。そこに付録のように「替天行道」があれば即座に買ったところだが、そこには無かった。で、ネットで見ると1円とあったのでつい購入したというわけ。
 中身は期待外れだった。本屋の店頭で中を見ることができれば買わなかったかもしれない。中は、期待した小説の中の替天行道の本文らしきものはどこにもなく、色々な形での北方水滸伝の解説のようなものだった。著者の主張はこのような付録的なものの中ではなく、文庫本にして19巻に及ぶ本体の中に書かれている。それをより理解してもらうための付録だとすると、まあそれはそれでもいいかもしれないと思う。
 しかし、このある意味人騒がせな「替天行道」。今の日本向けの替天行道は無いものか。あったらいいな。有ったとしても「替天行道」とは書いてないだろうが、こういう位置づけの書きものがあったとしたら、そこにはどのような事が書かれているだろうか。実は心ある人たちは、せっせとそれを書いているのかもしれない。ただ現代は宋代と違って本が氾濫している。本ものを見極めるのは容易なことではない。また、替天行道的要素の内容は色々な人の書きものの、色々な部分にちりばめられているのかもしれない。