天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

「コーランを知っていますか」阿刀田高著

 「コーランを知っていますか?」と問われれば、「知りません」と答えるしかないので、この本を読んでみた。というのはウソ。

 アフガニスタンで活躍する中村医師の存在を知って、氏の書く本を何冊か読んでみると、現地の人達の暮らしぶりが書かれている。イスラム世界で生きる人達だ。

 中村医師は、その人達の生きざまを愛情を持って見守っている。そういう彼はキリスト教徒。彼をしてアフガニスタンにはまらしめたのは何なのか。アフガニスタンのことをもっと知ろうと、本をあさっていたら、甲斐大策という画家兼小説家の本にゆきあたった。彼はイスラム教に入信までしていることを知り、驚きモモの木!

 ではそのイスラム教のことを少し知ろうと、まずコーランを解説してくれる本はないかと探したら、本屋の検索マシーンでこれを見つけた次第。前置きが長過ぎ!

 で、この本はどうだったかというと、以前より聞いていたユダヤ教キリスト教との関係を、具体的に確認することができた。とても分かりやすいと言っていいだろう。どれくらい分かりやすいかというと、巻末の解説を書いているのがイスラム研究者の池内恵という人だが、彼はこの方面の専門家として、本来このような本を自分が書かなくてはと思っていたところ、小説家の阿刀田さんに書かれてしまったと言っている。しかもその書きぶりを絶賛している。それくらい分かりやすい。

 で、何が分かったのかというと、イスラム教の創始者と言われるマホメッドは、アブラハム、モーゼ、イエスと続いてきた預言者の一人で、6世紀に出た、即ち最も新しい預言者であること。そして過去の預言者から崇める神様はずっと同じであること。その神をイスラム教ではアラーと呼んでいるのであって、ユダヤ教の神とキリスト教の神と同じ。そしてその神は、自然界を仕切っている存在であり、自然界で起きることは全て神の仕業。そしてその神は人間の形などしていないので、偶像崇拝は意味が無い。

 コーランは、最後の預言者であるマホメッドが神託を受けて話したことを記録した書物。彼の存命中に色々な場面で語られたため、その時々で言い方が異なることもあり、背景をしらないでただ読むのではとても読みにくいものらしい。

 さて場所的に言うと、今のサウジアラビアイスラム教の発祥の地である。その聖地メッカにはイスラム教徒でなくては行くことが許されていない。ずぶんと戒律が厳しい。女性の社会進出などとんでもない。顔も見せてはいけない。それでもそこに住む人達は、幸福でいられる。

 コーランイスラム教の外観は分かったとしても、石油で超お金持ちになっている国と、アフガニスタンのように外国に蹂躙されてとんでもない目にあっている国と、共にイスラム世界なのだ。そこのところは、各国の国情の違いなのだろうが、神は公平ではないように思えなくもない。しかしイスラム教では神は公平で、最後の審判でもって神をあがめるものは平等に幸せになれると信じられている。つまりこの世で起きていることなど目じゃない。それよりも神を敬い崇めて生きることが大切。いかんともしがたい窮地に立てばたつほど、この考えは受け入れられ安いのではないだろうか。