以前、私は仕事でよく中国に行っていた。その仕事から離れた今もよく中国に行く。仕事の時は、ろくに観光も出来なかった、というのがその言い訳。仕事は、主に天津と広州だった。駐在員ではないが、広州には長期の滞在をしたので、土地勘が出来、現地の友人もできた。成田からの直行便もあり、つい気楽に広州ゆくことが多い。一人で出かけては、広州近在の見所を旅する。案内や情報収集は現地の友人が頼りだ。そんな旅なので、オリンピックの開かれた北京周辺の世界遺産などへは、故宮以外に行ったことが無かった。
５月のある日、友人から「北京の格安ツアーに行ってくる」という連絡が入った。私もよく知る人に誘われたとのことだが、二人とも中国は初めて。でもツアーなら安心というわけ。友人の間で中国通ということになっている私に話しておこうと、連絡をくれたのだ。さらば、事前学習として中国の講義をすべくその友人と会った。会う場所は今や中国街として名高い池袋を選んだ。そこで四川料理など食べながら、と思っていたら、会ってみると彼の表情が暗い。実は誘った方の友人の都合が悪くなり、予約したツアーをキャンセルしたというのだ。
そのツアーとは、週末をはさんで3泊4日。北京周辺の世界遺産6箇所を巡り、飛行機は日系、ホテルはJAL系で39,800円というものだ。一人で出かける時の費用を考えると信じられないくらいの安さ。思わず「同じ金額、同じ日程で予約が復活できたら私が一緒に行こうか」と言ってしまった。前置きが長くなったが、これが今回の旅のきっかけだ。
