天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

39 私のイエス 遠藤周作

 なぜ今、遠藤周作のこの本を読むのか。あまりにも世の中がおかしく感じられて仕方がないので、神頼みなのか。ということではない。
 息子が帰って来た時に書棚の整理をしていて、私の古いものを見つけて持ってきた中にあった本。

 初版が昭和51年で、この本は19刷で昭和57年のもの。当時購入して途中まで読んでほおっておいたものと思われる。あるいはサラリと読んで放っておいたものだろう。当時はそういう扱いをする意識なり、生活だったが、今は割と興味深く読んだ。
 日本人向けにわかりやすいキリスト教の入門書的な本になっている。一つの宗教論であるが、今読み返してみて最も引っかかった部分は、
「人間が組織を構成すれば、その瞬間から腐敗が起こる」という一節だった。
 東京の築地市場の移転先の豊洲をめぐる腐敗、原子力ムラによるタコ政治家を抱き込んだ腐敗、日本は現在かつてないほどの腐敗ぶり。しかも納税者である国民をバカにした動きだ。沖縄の基地問題もしかり、巨大グローバル企業の顔色を窺うのが保守政党のような様相を呈している。
 キリスト教が現世のご利益を期待するモノでないことはわかった。宗教とは本来そういうものだ。
 しかし、これだけ社会が情けない状態になっていると、この現世をもう少しましなものにしておかないと、子々孫々とつづく将来の人々に申し訳ないように思える。
 で、せっかく久々にキリスト教に接したのでもう少し読んでみるか、と今度は彼の小説を手にする。