天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

この国のかたち

ひさびさに司馬遼太郎の本を読んでいる。しばらく司馬遼太郎氏の本から離れていた。その理由は氏のスタンスについて、とやかく言う意見があったこと。司馬史観と呼ばれるほどに、司馬氏の小説にのめりこむと、そこの書かれている歴史上の人物の評価が氏の考え方に影響される。などなど、冷却期間を置いたような結果だった。
 「この国のかたち」という本は、「文芸春秋」とうい雑誌の巻頭随筆に連載されていたものをまとめたもので、第1巻は1986〜7年のころに書かれている。今読んでみて驚いた、というのが印象。この第1巻のはじめの方に書かれていることと、現在この日本で起きていることと比べると、とても危ない状態が再現されないようにしなくてはならない。と思うわけだ。それは何かというと・・・。

 1905年から1945年の間の40年間、得体のしれないモノに日本は翻弄されたという。この間というのは日露戦争勝利から第二次大戦の敗戦までの期間であり、そのものとは参謀本部という名の超法規的な機関が統帥権という権力をかさに戦争を進めていたというのだ。その参謀本部では陸軍と海軍がしのぎを削っていたという話はよく知られている。海軍の方に広い視野を持った人がいたようだが。
 明治憲法は、わずか4、50年で病み、60年に満たずに滅んだという。昭和の日本国憲法は、もうすぐ70年。ここへきて、政府が憲法違反をするという異常な事態が起きている。危ない。
 しかし、司馬氏はこうも言う。
「日本史は、独裁者に強い反発を持った歴史と言っていい。」本当か。
 確かに、ヒトラーに重ねてひねくられている安倍のような独裁的な総理に、全国のまともな神経を持った人たちは反発した。それを行動であらわした。若者やママさんも立ち上がった夏から秋だった。しかし、先日のハロウィーンのばか騒ぎは何だ。デモをした同じ若者がやっているとは思えないバカさ加減。日本人になんの関係もない宗教行事に、子供たちを楽しませるだけならともかく、いい年こいた選挙権を持ち始める大人の若者がバカ騒ぎ。完全にメディアと、商売路線に乗せられている。みんながやることは、やらないと置いて行かれる。そのノリで戦争法案廃止デモをやっているとは思いたくない。
 一体、この国にかたちなんてあるのかしら。若者をただ批判する爺さんをやっているのではない。若いとか、年齢に関係なく確かにしっかりした考えで生きている人たちはたくさんいる。なのに、勉強不足で自分で判断できるまで学習しないタコたちも多い。政府の広報機関のようなメディアに乗せられて、自分の意見のように言うタコたち。知ったかぶりと自慢話しかできない年寄りも大勢いる。
 人類が共生してゆくのに、重要な要素が織り込まれている憲法を捻じ曲げてしまう国にかたちがあるのか。国のかたちなんて言う視点でものを考えると、この国を守ろうなどという尤もらしい言い方で、ジコチュー国になってしまう。国として国際社会にもの申したいのなら、国として過去に犯した悪事についてきっちりとけじめをつけることだろう。
 あれ、別に司馬批判を書くつもりではなかった。司馬さんは、過去の日本の情けない部分を指摘して、心していかないと日本人の性格としてこれから同じことを繰り返すことが無いようにと言いたかったのだと思いたい。