天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

中国インディペンデント映画

 今日、孔子学院で映画をやるというので見に行った。題目は、FLY WITH THE CRANE、日本語で「白鳥に乗って」。中国語では「告诉他们,我乘白鹤去了」。直訳すると「彼らには、私は白鳥に乗っていったと伝えてくれ」となる。
 最近は、中国でも映像に係る仕事に携わる人が増えているらしい。理由は、全体が豊かになって色々な映画見るようになったことに加えて、ITの進化で誰でも簡単に動画を撮ることができるようになった、ということがある。と、始まりの解説で話があった。インディペンデント映画というと、公認の映画ではないイメージだが、中国での場合は個人製作の映画でも、公認されないと一般公開はされていないみたいだ。よってこれは公認映画だ。
 中国では、白鳥が空に舞い上がる時には、亡くなった人を天国に運ぶと言う言い伝えがある。映画はそのことにちなんで、のどかな農村の風景を描写したものだが、唖然とするような結末で終わる。

 73歳になる主人公の爺さんは、そろそろ寿命を終わるについては昔ながらの土葬による埋葬を望んでいるが、最近は農村でも火葬にしなくてはならにという規則が出来た。こっそり土葬にした家の墓を掘りだしてまで、火葬にするということまであった。
 爺さんは自分が火葬されると、煙になって空に飛んで行ってしまうと思い、煙を見るのを嫌うようになった。当時はどこの農家でも食事の支度に火をたくので、煙突の煙は時々空にのぼる。それを見ると、爺さんは孫に藁で煙突を塞がせて、煙をとめてしまうことをしていた。
 爺さんの住む村には、大きな沼地があるが、そこに舞い降りる白鷺を鶴だと思いこんでいる。自分は煙になって空に飛んでゆくのではなくて、白鳥に乗ってそらに舞い上がりたいと常々二人の孫に話をしていた。沼の見える大きな木のそばに、穴を掘って埋めて欲しいという話もしていた。
 孫は、火葬を嫌う爺さんの願いをかなえてあげるために、木のそばに爺さんを埋葬する穴を掘る。そして、本当に爺さんを埋めてしまった。爺さんの最後の最後の言葉が、「みんなに、私は白鶴に乗って行ったと伝えてくれ」というもので、これが映画の題になっていた。
 スポンサーのいない、インディペンデント映画なので、身目麗しいスター俳優はいなくて、素人俳優ばかりの映画だが、それだけに実際の素朴な農村の生活が感じられた。質素ではあるが、どちらかというとのどかな生活の中で、起こりそうな出来ごとが淡々と語られていた感じ。観客には、埋まってしまった73歳の爺さんと同年齢又はもう少し上の人が少なからずいた。怪訝な顔をして帰って行った。