天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

コスタリカに学ぶ

 秋はいろいろと学習する機会が多い。この日曜日に「コスタリカの奇跡」という映画を見に行った。

憲法9条連合会というのがあって、そこの主催だった。いつも案内をもらう「9条の会」とはまた違ったグループらしい。こちらが古いのよと言っていた。
 ともあれ、私がコスタリカのことを知ったのは、恥ずかしながら今年の春のことだった。市民憲法講座に参加した時のことだ。

 それまで、コスタリカについて認識不足だった自分には、とても勉強になった。やはりこういう機会は極力出かけたほうがよい。講師は元朝日新聞記者、現在フリーのジャーナリストの伊藤千尋さんだった。そこでこういう映画があることも知り、いつか見たいと思っていた機会が到来したというわけ。
 話を聞いたときは、そうかそんなにいい国があるのかという感想で、以来伊藤千尋さんとはFacebookでフォローさせてもらっている。
 コスタリカの何が良いのか一言でいうと、軍備を捨てて福祉国家に生まれ変わり、周りの中米諸国にいい影響を与え続けているということだ。
 実際に映画を見ると、軍備を捨てて云々は、そう簡単なことではなかったことが分かる。人々が平和を求める思いと、いい指導者がいたことでコスタリカの平和が保たれている。
 映画は、フィクションではなく記録映画の形になっており、現在のコスタリカの礎を作った大統領フィゲーレスの紹介から始まり、その後コスタリカの平和を維持するために外圧(米国の圧力)と戦った大統領たちが紹介される。フィゲーレスは、優秀な学生で米国ハーバード大学に進学していたが、そこはユダヤ系のアメリカ人がビジネスを学ぶ場所で、授業にはほとんど出ずに、図書館通いをして勉強していたとか。
 この話でちょっと引っ掛かり、ハーバード大学をチェックしてみると教授陣の6割がユダヤ系であるらしい。これは、ユダヤ人が有能であることを示しているという人もいるが、有能というより言うなら「勤勉」ではないかと思う。そういえば日本人もルーツはユダヤ人なのだと、誰か言ってたな。坂の上零という人だった。
 余談はさておき、1948年に政争から内線となった争いに勝利したフィゲーレスは大統領となり、1949年に制定された憲法で、第12条に「常設的機関としての軍隊は禁止する」とうたい、常備軍を廃止した。その費用は「兵士の数だけ教師を」を合言葉にそっくり教育予算に回した。学校では、この憲法を子供のころからみな学ぶようになっている。
 また中米紛争の時には、当時のモヘン大統領が中立宣言をし、その後、87年には中米に平和をもたらしたとして、アリアス大統領がノーベル平和賞を受賞している。
 さて、軍隊を無くしてから、いいことづくめのように見えるコスタリカにも問題が起きている。格差の問題。これは世界の各地域で生じる問題。つまりグローバル企業の進出により、大手スーパーができコスタリカでの消費がグローバル企業の収益に貢献して、地元に還元されることなく吸い上げられてしまっている。コスタリカは元々世界有数のコーヒー生産国だ。そこにグローバル企業のスタバが進出。スタバにコーヒーを安く提供して、売り上げの大半は企業収益となるのみ。
 こういうことへの対応も、軍事費にお金を回さなくてよいので、これから知恵を絞って対策を練る費用は捻出できるだろう。憲法に違反する企業行動について規制するといったこともするのだろう。
 それにつけても、日本のひどさを再認識させられる事実だ。コスタリカ憲法と並んで平和憲法といわれる憲法がありながら、現政権はこれを改定して軍備を正当化させようとしている。教育面もまったくおろそか。大学から文科系学部をなくす、などという話すら出ているに至っては開いた口が塞がらない。国民はもっと怒らなくてはいけないはず。怒っている人もいるが、一気に政権を倒すという大きな運動にまでは盛り上がっていない。これからなのか。これが「国民性」なのだという言葉であきらめていると、まさにゆでガエル。こうした自由な言論すら統制されてしまってからでは遅い。
 マスコミの責任は大きい。マスゴミなどと揶揄されるほど、政権に忖度したり、政権の手先になって売り上げを追及している。
 意識が低い。低い意識は教育の問題でもあるが、それも国の施策。そこで先日の「みんなの学校」という動きが出てくるわけだ。こうなったら教育は国に頼るばかりではダメ。子供の教育だけでなく、大人同士も学び合うことが必要。
 この映画会もそういう学びの場であった。もっと多くの人が、文字通りコスタリカに学んでほしい。