天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

アメリカから<自由>が消える

 堤未果さんの本、読み始めて三冊目。これも前の二冊に劣らず、なかなかするどい本だった。アメリカの事情をよく調べて分析している。9・11後のアメリカだ。
 9・11以降、アメリカは「テロとの戦い」の為として「愛国者法」を成立させたほか、個人情報を政府に吸い上げる仕掛けを作っていった。
 この問題について、色々な視点での分析があるが、まず「テロとの戦い」ということ自体何なのか。9・11という衝撃的な事件が有ったために、アメリカ国民のだれもがこのキーワードで政府が個人の自由を制限してゆくことを容認するようになる。
 しかし、この「テロとの戦い」という戦争は従来の戦争と異なり、地域や時間を超えたものとなった。即ち、特定の地域や国と利害関係や、国際法上の問題から武力制裁を加える、というのがベトナム戦争までのアメリカが介入した従来の戦争だった。これに対して「テロとの戦い」は相手であるテロリストやその仲間がどこにいるのか分からない。どこで起きるかも分からない。いつ終わりになるかもわからない。そういうものが「テロとの戦い」だ。これは四六時中戦時体制ということだ。
 テロリストが誰かを特定するために個人情報を集中管理し、密告などあらゆる手段で容疑者・支援者をつかまえることが出来るようにした。そして逮捕された容疑者に自白させるために拷問をする。勿論アメリカ国内ではそのようなことは許されていないので、海外に連れて行っていわば拷問のアウトソーシングをする。
 疑いのかけられる余地のある人間を危険人物としてレッテルをはり、飛行機に自由に乗れないようになってしまう。政府の方針に反対する輩はこういう嫌がらせもできるようにしてしまった。
 イラクも、アフガニスタンンも大量破壊兵器保有するテロリスト集団だと決めつけて武力行為をしたが、どちらも誤りであったことが分かる。その結果はその地域に住む庶民が悲惨な犠牲者となり、仕掛けた米軍の兵士も犠牲者だ。
 彼らは、貧困から抜け出すために甘い条件を見せつけられて集まった若者たちだった。
 一体これは何のためか。「戦争ビジネス」である著者は言う。
 それにしても、鋭い分析と指摘。テロリストの情報収集に余念が無いアメリカがこのような文章を放置するだろうか。昨日そんな話を先輩としていたら、とにかくこの本が読みたいので本屋さんへ行こうということになった。しかし4軒回ったがどこにもなかった。良く売れているのか?そのうち2件は取り寄せも不可。卸元にないことになっている。四件目でやっとチェーンの他の店から取り寄せ可能ということになった。果たしてアメリカの手が回ったかどうか。
 アマゾンのネットで調べると、どんどん彼女の著作が出てくる。考え過ぎだったかもしれない。