好きになった本
本を次から次に手にしていると、好き嫌いが出てくる。もともと自分で読もうと思って手にした本なのに、読んでみると差が出る。あたりまえの話だが、どこに差が出るのかというと色々なことがある。
まず、読んでみての内容。これはためになったとか、グイグイ引き込まれて面白かったとかというのはまずいいとする。装丁なんかもセンスのいいものといまいちのものとある。
どのような内容にしろ、感動するのは著者の物の見方の深さ。軽い感じで書かれている文章でも、本当に深いものが感じられることがある。一方で、今はやりの事柄や、世間受けしそうなテーマで書いてあっても、雑な本がある。校正もしてないのではないかと思える本もつい最近読んだ。
そこへゆくと、最近好きになった本はこれ。「とるにたらないものもの」と言う本。江國香織さんの本。新しくは無い。買い置いて眠らせてしまっていた本。読んでみると初めは軽い感じがした。ちょっとしたものを面白おかしく書いている、という、そういう本かと思ったら、そうではなかった。物事や事象をとても繊細に感じとって、平易な言葉で述べている。その感じ方が手に取るように分かり、親しみがわく。ていねいな文章だ。著者の感じ方、見方に奥行きが感じられていいという文章もある。
そして装丁がまたいい。本の内容ととてもマッチしており、丁寧に作ってあると言う感じがする。
普通に読む本は、あまり読み返そうという気もしないが、これはまた気が向いたら、心穏やかな時に文章をじっくり味わってみよう、という気持ちにさせられる本だった。
さて、一連の忘年会シーズンも明日で最終となった。突発的な飲み会はまだあるだろうが、今年もあと10日で終わりだ。中国ではこの季節をどう感じているのだろう。春節が一年の最大のイベントとすれば、この新暦の年の瀬というのは、単なるカレンダーの移り変わりなのだろうか。そこのところが、もう少し分からない。
あとしばらくしたら、今年読んだ本を数えてみよう。