上海万博(5)サプライズ
今回久しぶりに上海に行った。過去には仕事で数社を訪問しただけなので、土地勘などはまったくなかった。ただ、上海は中国の歴史の中で過去から実に色々なことが起きている街であり、本や写真で自分としてはお馴染みになっていた。
今回の旅は3泊だけの滞在ではあったが、仕事ではなく自分の意思で、自分で計画を立てて過ごすことができた。なので、地下鉄や街の広がりは地図と照らしあわせながら概ね把握することができた。外灘(ワイタン)という旧租界地で、今や観光のメッカになっている場所も、ホテルから近かったので夜に見物に行くことができた。昔ながらの建物たちがライトアップされて、なかなか見ごたえがあった。黄浦江をはさんで東浦側の新らしい高層ビル群が夜空に輝いているのに、対峙してオールド上海を夜空に浮かびあがらせているようだった。
緑の三角屋根は和平飯店という昔からのホテル。ここでジャズの演奏が広く知られている。今回はホテルの中までチェックする余裕が無かった。
外灘側から見た東浦の夜景はこんな感じ。
お馴染みの景色を目の当たりにした。
さて、サプライズの一つ目は上海に着いた日がちょうど自分の誕生日であったのだが、夜遅くホテルにやっと着いて部屋に入ると、バースデーケーキ―とワインが待っていたことだった。
空港からのドタバタ旅で、お腹もすいていたので、早速食べ始めたが記念に写真を1枚。
そういえば、かつて広州のホテル暮らしで仕事をしていたころ、誕生日にホテルの部屋に戻ると、到底一人では食べきれないバースデーケーキが置いてあったことを思い出す。
二番目のサプライズ。旅の準備中、元の仕事仲間の女性社員が出産で天津から実家の上海に帰っていることを知った。連絡してみると、その彼女の実家が万博会場に乗り入れる地下鉄の駅のそばであることがわかった。これだけでもちょっと驚き。ではではというので、出産祝いを日本から持って行った。日本の赤ちゃん服のブランド品。これなら喜んでもらえるかも。結婚のときは、知らないうちに結婚をしてお祝いをするタイミングを失っていた。
彼女が結婚した相手は、かつての留学先の日本人ではなく上海の人とだけ聞いていたので、昔から彼氏がいたのかと思っていた。ところが今回、赤ちゃんを抱いて現れた旦那は、私と知りあいであるという。確かにどこかで見覚えのある風貌。よくよく聞くと、かつて天津に支店を出す準備をしていたころに一緒に仕事をしてもらった会社の人だった。この自然な成り行きに、却ってサプライズを感じた。ともあれ、今回出産で家族が増え、絆も深まったことだろう。お幸せに!
さて、最後に中国で時々感じるサプライズ。万博の帰りに地下鉄に乗った時のことだった。それほど混んではいなかったが、座席はちょうど全部ふさがっている。たまたま立った前の席に二人の若者が座って話をしている。髪を茶色に染めて、足を広げて見た目は日本の若者と変わるところはない。がしかし、私が前に立ったのに気づくと、二人は顔を見合わせてから二人で私に席を譲ってくれた。中国の地下鉄には優先席は無い。自分では席を譲られる程の年配とは思っていないし、杖をついている訳でもないのに、年長者に対してごく自然に席を譲る若者にサプライズ。日本ではあり得ない光景であるからだ。日本では、優先席でさえ年よりが立っていても、若者は平気で座り込んで耳にイヤホンをはめて、足を広げているというのが普通の光景になっている。
これからの社会を担う若者たちの日中比較をしてみると、親や親せきに学費を出してもらいながら、まじめに大学で学んで力をつけて、皆でいい生活をしようという志の若者と、なんとなく楽をして暮らせればいいと考える若者の姿が対比される。日本の若者もまだまだ捨てたものではない人もいることは分かっているが、電車の風景などから見られる一般的な話では、明らかにこれからの世の中を担ってほしいのは中国の若者ということになろう。