天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

天、共に在り 中村哲

 ここのところ本を読んでは断捨離が中断されている。
 アフガニスタンと言えばやはりこの人。この本は出たときに購入して、大事にとっておいた??3年以上も大事にしていた。

 3年前の時点で、中村氏はアフガニスタンに関わって30年ということだ。この本はご自分の半生を書いたものであり、その30年の経験を踏まえて人間のあるべき姿についての主張がある。
 この人の書いたものは大抵読んでいるが、いつもやったことや出来事を淡々と書いているだけなのだが、この本は国際政治や支援団体がいかに不毛なものか、彼らの活動にとって迷惑であることがズバリ書かれている。JAICAのことは悪く書いてないが。
 終章 日本の人々へ、という文書の次の部分はズバリ日本の政治の貧困を指摘している。
「2011年3月11日の東日本大震災の報は、・・・原子力の恐怖を再び思い起こさせた。大きな転機が日本自身に訪れたと思われた。しかし、その後のいきさつはあまりに気落ちさせるものであった。置き去りにされたのはアフガニスタンだけではないと思った。
 世の流れは相変わらず『経済成長』を語り、それが唯一の解決法であるかのような錯覚を刷り込み続けている。経済力さえつけば被災者が救われ、それを守るため国是たる平和の理想も見直すのだという。これは戦を図上でしか知らぬ者の危険な空想だ。戦はゲームではない。アフガニスタンの体験から、自信をもって証言しよう。」
 中村医師は、アフガニスタンにおける業績だけを評価されるべきではない。そこでの実績は、見識の深さと潔さにより実現されたものだ。「武力によってこの身が守られたことはなかった」という言葉も重い。
 脅威に対抗するのだと騒いでいる政治家がバカに見える。