康定情歌
これは四川省の少数民族で、茶葉古道を荷物を背負って茶葉を運ぶ男と、その通り道の康定城という地域に住む娘との悲恋の物語だ。
このタイトルの歌は、中国語を学習し始めたころに中国の歌の本に載っていたところから知るようになり、二胡の練習曲の中にもある。
何のことかよくわからなかったが、この歌劇を見てよくわかった。
広州に来て、奥曲劇場で何かみたいと思っていたところ、京劇のようなやつでなくて中国ミュージカルをやっていた。
京劇のようなセリフと違い、普通語の歌で、両脇に電子字幕も出るので見ていて内容がわかる。
あらすじ;
茶葉古道を荷を背負って隊列を作って歩く男たちが現れる。茶葉古道は険しい山道で、様々な危険がいっぱいだ。毎日が野営の旅。ある夜、野営しているときにオオカミの集団に襲われる。そこに地元の男たちが松明をもって救いに来た。狼を追い払ってくれた男と救われた旅人の若者は兄弟の誓いをする。
若者はその地元の娘で、救ってくれた男の妹と恋に落ちる。二人は結婚しようという話をするが、兄が猛反対。明日をも知れぬ危険な旅をする男に妹を取るがせるわけにはいかない。
その里に疫病が流行った。そこで旅の若者たちは、命の恩人である村人のために薬草を探しに山に分け入る。そういうことがあって、兄弟になった男の妹とは永遠に思いあう仲だと認め合う。
荷を背負った男たちの隊列は、雪山を出かける。途中小鹿が雪崩に埋まってしまう。それを男たちが掘り起こして助けようとするが、また起きた雪崩で娘に恋した男は帰らぬ人になってしまう。
フィナーレは、男が白装束で「私はこの空を舞う鷲となり、またこの白い雪山となっていつもあなたのそばにいます」と歌う。涙を誘うフィナーレ。
劇は、民族衣装に身を包んだ踊りや、チベット仏教の歌のような念仏を唱える坊さんが出たりして、とても艶やかだった。歌のセリフがみな康定情歌の調べに乗って唄われる。
四川省甘孜州民族の歌舞団ということだが、まさにチャイナ・ミュージカルそのものだった。