天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

13 終わらない原発事故と「日本病」 柳田邦男

 この国は異常だ。ズバリそうでしょう。
 本のタイトルに原発事故とあるので、福島の問題かと思ったらそれだけではなかった。著者は水俣病についても長年調査を続けている。この問題に対する政府の対応のひどさと、福島原発事故への対応と同一線上の問題としてとらえている。
 「公害の原点と言われる水俣病については、国は水銀汚染と被害の全調査を行わず、被害補償の対象者を狭く限定する制度を守り続けてきた。そして、今、日本という国に戦後最大の危機をもたらした3・11東日本大震災原発事故についても、国として災害の全体像を把握し、被災者の苦悩をとらえる総合調査の取り組みの体制を作る動きも発想もない。それはなぜなのか。それは、被害を個別化、限定化することで、公的な救済や支援の規模と責任が巨大化するのを避けるためではないのか。政治家の発想の貧困とタテ割り官庁の縄張りばかりを意識する官僚制度の悪弊もからんでいる問題だろう。」
 ここで、公害の原点を水俣病としているが、実際の原点は足尾銅山鉱毒事件だと思う。足尾銅山の問題が長い間放置されていた体質が今も変わらず続いているというわけだ。
 チェルノブイリ原発事故が起きたときに、日本人はロシアの原発管理体制はなっていないなどと非難したものだったが、日本も同じかそれ以上にズサンな管理状態だった。しかも、事故後の対策、住民への対応は日本の方が全くなっていない。
 「東京電力福島第一原発事故のその後はどうなったか。5年近くたつのに、汚染水処理の目途はいまだに立っていない。放射能汚染地域での除染作業は、平地では進められ、ごく一部で帰還がはじまったとはいえ、帰還の目途が立っていない地域が多い。今も12万人以上が避難生活を余儀なくされている。避難生活のストレスによる”原発事故関連死”は2000人を超えている。」
 この帰還地域だって、放射性物質の危険基準値を事故前に比べるとずいぶん緩めて、実際は危険なのに帰らせていると言えなくもない。実際子供たちの甲状腺がんが増えているらしい。
 こういう状態でよくも4年後にオリンピックなどと言っていられると思う。
 体制を批判するばかりでなく、元気になる活動も必要だが、現体制はあまりにもお粗末ではないか。柳田邦男氏はそういうことを指摘している。