天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

平頂山事件とは

 先日の集会で講演の部で平頂山事件について話があった。講師はこの裁判を手掛けた弁護団のひとり、大江京子弁護士。

 平頂山事件とは、1936年5月16日に撫順炭鉱近くの平頂山という場所で、村人3000人が虐殺された事件だ。これは、撫順炭鉱で抗日活動が起きたが、その前夜にこの村を抗日ゲリラが通過したのに、誰も通報した村人がおらず、日本陸軍は村人が抗日ゲリラに通じているとして、見せしめのために起こした事件だ。

 村人たちは、映画を見せるとか、写真を撮るからなどという理由で騙されて機関銃の設置された広場に連れてこられた。黒い布をかけた機関銃を見て、カメラだと思って近づいた子どももいたとか。

 機銃掃射で死ななかった人達は、日本兵の銃剣でとどめを刺された。大人たちの死体にうずまって、息をひそめて生き残った子どもや、その日に遠くに出掛けていてこの惨事にあわなかったひとが、幸い生き残ったという意味で「幸存者」と呼ばれる。

 そういった人達のうち3人を原告として、日本政府に賠償を求める裁判が起こされた。もとめた賠償とはお金ではないく、次のようなものだった。

1.日本政府は、平頂山事件の事実と責任を認め、幸存者及びその遺族に対して公式に謝罪を行うこと

2、謝罪の証しとして、

 ア 日本政府の費用で、謝罪の碑を建てること

 イ 日本政府の費用で、平頂山事件被害者の供養のための陵苑を設置・整備すること

3.平頂山事件の悲劇を再び繰り返さないために、事実を究明し、教訓を後世に伝えること

 裁判は、最高裁まで行ったあげく「国家無答責の法理」により原告の訴えは棄却された。しかし、法廷は事件の被害と加害の事実認識をした。それだけでも、平和維持に向けた活動の成果であったろう。

 原告となった人達は、最初は躊躇したらしい。日本に訴えに行ったりしたら、親兄弟を殺した日本に自分も殺されるのではないかと思った。これまで、息をひそめて生きてきた人達だ。

 私たちは過ちを繰り返してはいけない。であるのに安倍内閣のやっていることは何だ。中国と北朝鮮を仮想敵国として、憲法解釈を捻じ曲げたうえで「集団的自衛権」なるものを行使する準備を始めている。断じて許せることではない。