天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

「もやい」

 正社員が没落する「貧困スパイラル」を止めろ!という本を読んでいる。堤未果さんと湯浅誠さんの対談本だ。ここでは、アメリカと対比しながら、日本の貧困問題が語られている。
 一昨日、孔子学院のサロンに新宿まで出た時に、少し時間があったので西口から地下道をまっすぐ抜けてみた。
 昔は地下道には段ボールのハウスがいっぱいで、ホームレスの人達のすみかだったが、今は地下はそういう場所にできなくなってしまっている。しかし抜けた先の道路の下の所に、三人ほどの若者ホームレスが横になって何をか語っていた。
 若者ホームレスというと、世間は「まじめに働かない怠けもの」のように見るふしがある。しかし今やちょっとしたことで、こういう状態になってしまう。ということがこの本を読んでいてわかっていたので、若者達が気の毒に思えた。
 その近くでは、高齢のホームレスおじさんが、段ボールの中に猫を数匹入れて、暑いので猫に手ぬぐいを振って風を送っていた。オジサンは暑いのに日向にいて、よほど猫が可愛いのだろう。箱をちらりとのぞいた限りでは、痩せてはいないが猫も高齢の様子だった。
 あるいは、高齢で身のこなしが悪くなって、餌にありつけない猫を不憫に思って面倒を見ているのかもしれない。
 この本で、指摘されているところでは、本来生活保護を受給できる人が実際には出来ていないケースが多いらしい。窓口で正当な理由なくはねられるケースが多いという。ホームレスになる人は、そんなときにも泣き寝入りで諦めてしまい、果ては自殺に追い込まれるケースもある。毎年3万人もの自殺者が出る国だ。
 湯浅誠さんは、年末になると年越し派遣村で年越しの出来ない人に炊き出しをする活動をしている。東京大学を卒業して、官僚にでも大手企業にでも就職できるところを、こういった活動に身を投じている。堤未果さんとの対談は耳を傾けるべきことばかり。
 湯浅さんは「NPO法人自立生活サポート・センターもやい」という組織を運営して、生活がたちゆかなくなった人達の相談相手になっている。新宿で見かけた若者にこの組織の存在を教えてあげたい。