天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

His Bright Light by D.S.

 直訳すると「彼の明るい光」というタイトルとなるだろうか。Danielle Steelの作品だが、彼女の息子のことを書いたもの。
 ダニエルはLove lifeの遍歴の結果、9人の子供に恵まれているが、そのうちの一人Nickという名の男の子の話しだ。いつもの彼女のお得意な恋物語とは、ちょっと、いやかなり違う。フィクションではない。その証拠に子供の頃から、その最後の葬儀まで写真が載っている。
 Nickは彼女と一時恋愛関係にあったBillという男性との間に出来た子どもだ。Billは少し性格が繊細過ぎるのか、薬物におぼれていた。その血筋なのか、Nick小さいときからmanich-depression(うつ病)で、色々な治療を受ける。普通の学校にはなじめなくて、彼に合った学校を探したりする。
 日本でも最近は、自閉症とかでなかなか家族以外の世界になじめない子供が増えているようだ。昔からあったのだろうが、親が生きるのに精一杯な時代は、そういう子供は単なる意気地なしとみなされてほおっておかれたのだろう。こういう子供を鍛えるということで、戸塚ヨットスクールなどというものもあって、事件を起こしたことがあった。アメリカにもこの種の学校はあるようだ。ただ子供たちを閉じ込めて、暴力的に従わせるという質の悪いものもあるようだ。
 ともあれこのニックは、母親の愛情とジュリーという女性カウンセラーの保護によってなんとか育ってゆく。が、やはりドラッグに走ったりすることが何度かあった。彼はうつ病というよりも、躁鬱症であり、機嫌がいいときはかなりお茶目で、センスもあるデリケートな少年だった。その明るい思い出を本のタイトルにしたのだろう。
 10代後半で、彼はロックバンドに参加する。能力の高い彼はそのバンドで中心的なポジションになるが、ツアーの途中で重圧に耐えきれなくなる。
 最後は第二の母親のように、彼を世話してくれていたジュリーの家の敷地内の部屋で麻薬による自殺してしまった。19年の人生だった。
 驚くのは、このように手のかかる子供を持ちながらダニエルは小説を書き続けていたし、他の子供たちにもしっかり気を配って生きてきたことだ。
 この本を読む限り、うつ病の本人も自分の病気を自覚して、まっとうな生活をしようと努力している。それでも難しいことがあるのか。薬としてリチウムを服用するのがいいらしい。
 ダニエルが書く本の冒頭には、いつも愛する子供たちへの呼びかけがあるが、今でもNickの名も含まれている。