天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

「百年の孤独」G・ガルシア=マルケス

 なんという本だろうこの本は。かつて世界のベストセラーだったということでもあり、2年ほど前に、今は無くなった「週刊ベストセラー」で紹介された本。というので買ってあった本だ。
 全編が詩のようであり、ありえない無茶苦茶な出来事が一見無秩序に書かれている。でもそれは、当たり前だが全て仕組まれた記述だ。
 読んでいる途中では、一体この物語りに終わりはあるのだろうか。どのように終わらせるつもりなのか、と不安になったが、ちゃんと落ちはあった。落ちの前に中に書かれている「文学は人をからかうために作られた最高のおもちゃである」という言葉が、作者のこの本を書いたスタンスをズバリ表している。
 著者はコロンビアで生まれ育った。コロンビアってどこだ?南米の北西に位置する国。この小説が書かれた時代は1828年から1928年の100年ということになっていて、内戦がストーリーの中で一つのポイントとなっているが、この国は今でも内戦が続いているような状態らしい。この国はスペインの統治時代があったことから、マルケスはスペイン系で今はバルセロナかどこかに住んでいる。
 話はマコンドという町ができてから、発展し、消滅するまでの100年間に、そこに生きた人々の奇想天外な人間模様が、常にどとか哀愁を帯びた雰囲気を、冗談の中に混ぜながら書かれている。キーワードは「孤独」。読みながら何が「100年の孤独」なのだろうと思っていたが、100年続いた街に生きた人々の孤独を書いたものだと言えば、その通りではある。もう少し意味深かと思ったがそういうことか。
 ともあれ舞台はラテンアメリカ。中国に注目している自分には新しい世界だ。今までなじむ機会が無かったというだけで、ラテンアメリカは北米と同じように、ヨーロッパからの侵略の歴史がある。ただ、北米にはヨーロッパの北の方の国が来たのに対して、こちらはスペインとかポルトガルといった南欧の国々が来ており、自ずと醸し出される文化が異なっていた。
 この本は、やけっぱちなストーリー展開そのものがラテン的とも言えるが、そこに生きる庶民のたくましい生きざまに引かれる。孤独なのにたくましい。孤独だからこそたくましくなくては生きてゆけない、とも言える。南米文学ももう少しチェックしてみる価値は十分ありそうだ。
 とりあえず、この「100年の孤独」でブレイクしたG・マルケスのその後の代表作に、「族長の秋」とか「コレラの時代の愛」などがあるらしい。「愛」などとタイトルにある小説など、どんなものか読んでみたくなる。一応メモしておこう。