天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

Golden Moment by Danielle Steel

 このタイトルは一体どういうことかな、と思って読んでいたが、読み終えて分かった。Momentといのだから短い期間のことだ。それは6カ月間の出来ごとだった。
 アメリカの超上流階級の若い女性が主人公。河の上流に住んでいる人(ギャグ)ではなく、本物の金持ち。両親は無く、後見人のようなおじさんと、フィアンセに大事にされて、社交界に出没している。それだけの生活では息詰まるのか、身分を隠して別人になりすまし、雑誌のコラムに記事をかいている。そしてSOHOに住む若い芸術家の卵をツバメにしている。
 あるとき、雑誌社の担当者からインタビュー記事を書かないかと勧められる。上流階級のパーティーなどに参加して、そこで見た出来事をこっそり書くような記事ではなく、正々堂々と時の人にインタビューをして記事を書くと言う仕事は初めて。そもそもライターとして人前に出たことがなかった。
 そのインタビューの相手は、留置所から仮出所中の男で、留置所の待遇改善などの運動を推進するアジテーターであった。主人公のケチアはその男と恋に落ちる。今まで付き合った上流階級の人達とは違い、使命感に動かされるように仕事をする男に接したのは初めてだった。そこで初めて人としての生き方のようなものを感じ、隠れ記事を書くのをやめ、ゲイで先の見込みのないフィアンセやツバメとも別れた。しかし、仮出所中の男はその活動をやめないことから、また収監されるはめになる。
 その男は収監後まもなく死ぬのだが、そういう運命を見越していた男は、自分を理解してくれていた友人を彼女に紹介している。最後は、彼女は、彼が収監されるときから彼女のそばで、なにくれと心配をしてくれていたその男とハッピーエンドになる。
 ポイントは、上流階級のお嬢様が、志を持った荒くれ男を好きになることで、自分が初めて見えてくる。そして、その最愛の人との別れ。物が見えてからの自分の生き方の立て直しと、身近にいる人との愛に気づく、ということだろうか。
 これに似た設定の小説は、他にも書いていたように思う。あるいは、本物語の紹介文章を読んだのかもしれない。ひとつ読み終えるとまた次が読みたくなる。